研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -014/109page

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 仕事の内容を全員が理解すること,仕事の分担に 片寄りがないこと,分担に無理がないようにする ことなどであった。

 班で役割分担を話し合わせ,担任が指導・助言をした。

【5】ザリガニ発見カードを書かせる 

 ザリガニについて,新たな発見をしたとき絵と 文で内容を記録させ,「発見カード」と呼んだ。

 ザリガニとりに行ったときのこと (女子)

 ザリガニさんは,水がきたないぬまにいるん だね。わたしははじめてわかったよ。

 飼育しているときのこと (男子) 

ザリガニくんは,へんなかっこうをします。 ぼくはザリガニくんのひげをもってからひげ をはなしたらちょっとおこったように見えま した。

 発見カードを書かせることによって,今までとは違う視点でザリガニを毎日観察してくれるのではないかという願いをもっていた。

 その結果,児童は上述の例のようにザリガニに ついての様々な特徴を固定観念にとらわれない感 覚でとらえており,B教諭の願いは達成された。

(ザリガニの特徴を観察する)
(ザリガニの特徴を観察する)

【6】生き物へのやさしさを教える

 マイケルがくるしんでいるので「どうしたん だ」といってみて,ザリガニをつかんでみた ら「ギュウギュウ」というこえがした。ない ているんだな。それから何日かかくれがには いって,そのままくるしんでいました。・・

 S男たちの班のザリガニ「マイケル」のはさみ がねじれ,取れてしまったのである。

 あまり可愛がり過ぎ,頻繁に水を取り替え過ぎたり,いじり過ぎたりしたための出来事である。

 「ギュウギュウ」という音を鳴き声ととらえた S男にB教諭は,「Sちゃんには,マイケルの苦 しみがわかるんだね。それだけで,マイケルは救 われるよ。」と言葉をかけ,S男のやさしさをほ めている。

【7】友人を大切にする 

 K子たちのザリガニのはさみが取れて死んでい た。K子が当番のときにはさみが取れたとK子が みんなに追求される。K子は反論できず,涙ぐん でしまう。

 B教諭は,この出来事を児童同士でどこまで解 決できるかじっと見つめていたが,解決は困難で あることを知った。

 「みんなは,Kちゃん一人を責めているけど, Kちゃんは当番としていじったけど,みんなも, 可愛がっていじっていたでしょう。Kちゃんだけ を責めるのは正しいのですか。」

 この言葉で,K子を責めていた児童全員がK子 に謝った。これに類する出来事はたくさんあった が,そのたびごとにB教諭は,ザリガニを可愛が ること以上に友人を大切にしなければならないこ とを教えてきた。

(3)変容 

【1】児童の変容 

 ザリガニの飼育をとおして,児童たちの生き物 に対する見方や考え方に変化が見られるようにな ったのは2学期ころからである。

 1学期はものめずらしさから,ただザリガニを可愛がることが中心であった。2学期に入るとザリガニに脱皮やけがなどが生じ,かなりの数が死んだりした。そのような出来事の中で,生命の尊厳さや痛みを知り,ザリガニが生きていることと


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