研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -015/109page
自分が生きていることを同じようにと らえられるようになってきた。
また,責任問題や友達同士の意見の対立が現れるようになり,自分と友達のかかわりを考えるようになってきている。
【2】教師の変容
個を生かすという観点で生活科に取り組んだB 教諭は,他の教科では見られなかった児童の多様 な側面を見い出し,どの児童もそれぞれに優れた 面を持っていることなどを改めて認識させられ, 児童を見る目に広がりができた。
また,児童に自力解決力を身につけさにも,児童一人一人の考えを大切にした学級経営の必要性を感じた。
(4)実践した内容と各視点との関連
視点
1 2 3 4 内容 学習の計画作りをする
○
○
不安を取り除く ○
活動する前に話し合わせる ○
○
役割分担を決めさせる ○
発見カードを書かせる ○
生き物への愛情を教える ○
友人を大切にする ○
(5)考察
個を生かすことと生活科のねらいを達成させる ことについて,指導にあたっての教師の思いはよ く似ている。換言すれば生活科指導上の留意事項 が,個を生かす学級経営の基本方針になっている と思われる。B教諭は,生活科を指導するにあた り次のことに留意した。
- 児童の創意工夫を重視する
- 細かいことはあまり口うるさく言わない
- 児童の活動を可能な限り生かす
- どの児童にも活動の場を与える
- 児童自身で解決不可能な場合に教師がアドバイスする
また,実生活に深く関わる生活科であったため 視点4とのかかわりが大きかったのが特徴である。 「川に入る不安を取り除く」「生き物への愛情を 教える」「責任の転嫁をしない」など児童の心情 面に深くかかわることや人間としてのあるべき姿 などについて視点4の考え方で指導がなされた。
以上のことから,今回の生活科の実践例は,個 を生かすのに適していると言える。中でも視点2 および4とのかかわりが大きく,その有効性が認 められる。
視点3 認知面に偏ることなく,情意的側面 との調和を考えた実践活動のあり方を探ること
事例1 心のことばを出し合う学級経営
(日記指導をとおして)
小学校 第2学年
(1)視点とのかかわり
本事例は,持ち上がりの担任が昨年の反省をも とに,視点3を中心とした日記や日誌指導を行い, 児童生徒の情意面を大切にした学級経営に取り組 んだものである。
そこで
- ○できるだけ加点主義,長所伸長型の評価方 法を取り入れる。
- 日記や班日誌,観察の結果等から児童生徒 のよい点を朝の会,帰りの会,学級通信等 で紹介したり,ほめたりする。
小学校の実践例では,担任のA教諭は日記指導 をとおして,物事を感性豊かにみる心の育成をね らい,日常生活では気づきにくい側面を日記から とらえ,一人一人のよさを伸長することを願った。 事例ではF子にスポットをあて,A教諭が彼女に