研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -017/109page

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のしくやって,みんなにみせたいと思いまし た。べんきょうがんばってほめられるように します。2年生になってべんきょうができる ようになってうれしいと思います。

 4月のF子の抱負と比較してみると,「べんきょ うができるようになってうれしい」の記述から, F子は目標を達成しつつあると言える。

 「Fちゃん,毎日がんばったからおべんきょう がわかるようになったんだよ。先生はかんしんし ました。ほんとによくがんばったね。ごくろうさ ま。」と担任は日記の文末に書き,F子の努力と 成長を認め,ほめている。

(3)変容 

【1】F子の変容

 F子は,今年の抱負に「べんきょうができるよ うになりたい」と書いてから8カ月後「2年生に なってべんきょうができるようになってうれしい」 と日記に書けるまでになった。また,学校生活に も活気が出ている。

【2】学級全体の変容 

 学級全体の8ケ月間の変容として,どの児童も 自分や物事を見る目が育ちつつあるといえる。

 次の例は,音楽発表会で歌えなくなった グループの児童の日記である。

・・3回も4回もまちがっていたらみんなが いっしょにうたってくれました。・・わたし たちがきんちょうしたのかな。それともれん しゅうがたりなかったのかな。・・・こんど からめいわくをかけたり,わたしたちがはず かしくならないようにしよう。みんなはやさ しい気もちがあるんだな。

 この文からわかるように,多少なりとも他とのかかわりの中で自分を意識し,自分の内面を見つめ直そうとし始めてきている。

 また,友人を思いやる温かい心情がこの日記以外にも数多く見受けられることは,学級全体に受容的な雰囲気が醸成されていることであり,大変望ましい姿になってきていると言っても過言ではない。

【3】教師の変容 

 日記指導をとおして,感性豊かな心と日常生活 では見えにくい児童の側面をとらえることを願っ ていたA教諭であるが,F子との日記指導をとお して「児童は日々確かに成長していること,だか ら,どんな児童の場合でも決めつけてはいけない ことや親身になって対応していけば必ず児童はよ いほうに応えてくれることなどを改めて知らされ た」と述べている。

(4)実践した内容と各視点の関連

視点

1 2 3 4
内容
感動を日記に書かせる

 

 
意欲を高める

   

 

よくなった点を紹介する

 

   
自信を持たせる

 

 

 
言葉かけをする  

 

 

成長を認めほめる    

 
児童把握の諸検査をする

   
激励などのコメントをする      

(5)考察 

 日記指導の事例をとおして「個を生かす学年・ 学級経営」をするための具体的な手だてのいくつ かが明かとなった。

ことなどが上げられる。

 また,日記をとおして個を生かす上での配慮事項として次のようなことがわかった。

 個を生かす日記指導をするためには,


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