研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -021/109page

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だてにより児童の内面に変化を起こすことができ たからと考えられる。 

○係を決定するときの自己選択の体験や係の名称 の話し合いにより,自分の仕事を身近に感じる ようになった。 
○活動を「気づく」で具体的に賞賛した。 
○情意面への評価を継続的に行った。 
○帰りの会で活動を紹介したことにより意欲づけ がなされた。  

 一人一人を生かす係活動を行うには,児童の意欲を喚起するような動機づけとしての計画作り,活動の場の設定が重要であることが再確認された。さらに,一人一人の児童の理解にもとづく活動に対する具体的な賞賛も大切であることを本実践は示唆している。 

 本事例は,視点3だけの取り組みだけでなく, 他の視点で述べられている手だてとの組み合せで あったといえる。活動の計画の段階は,視点1に ある個の願いを取り入れ具体的な目標を立てさせ る項目との深い関連がみられる。特に,「児童の 実態にあった内容,方法を考え,児童の意見を取 り入れるための話し合いをさせる」の具体的な実 践でもあった。  

 係の名称の変更により,児童の活動が身近になったことからも,計画段階での個を生かす方法としては,有効であるといえる。 

 反省記録の「気づく」の活用は,視点3の情意 的側面の評価に生かすだけでなく,視点2の個の 特性をとらえ,生かす方法として有効であてたと 考えられる。  

 係活動に関する教室環境や効果があった手だて については,学年会で紹介された。特に,チェッ クカードのコーナーは,学年共通の教室環境とし て共通理解が図られ,効果をあげている。この学 年会をとおした手だての交流は,視点1の「個の 存在を大切にする内容,方法を明確にし,共通理 解を図る」との関連で,学年・学級経営を行う上 で有効な手だてであった。 

視点4 個性豊かな生き方のための基礎・基 本の習得を重視する内容・方法を探ること  


事例1 鎌田っ子を生かしあう学級経営 

(教材開発「昼花火」をとおして) 

小学校 第2学年

(1)視点とのかかわり

  本事例は,視点4を中心にして「鎌田」に昔あっ た「昼花火」を教材開発し,打ち上げ大会の開催 までをとおして個を生かす手だてを具体的に実践 したものである。  

そこで 

○図書室,資料室の活用の仕方を工夫したり 地域教材の開発等を積極的に行う。  

 C教諭は,地域に根ざした文化的な行事を掘り 起こす作業を行っているときに,鎌田地区に昔行 われていた昼花火についての情報を得た。  

 そこで,この昼花火を図工の鑑賞教材として開発することになった。花火の中に入れる旗もの・袋ものの作品をつくる体験をとおして,感動やよさを感じる心を育てることをめざした。花火大会を学級行事として開催することにした。 

 この学級行事を開催するまでにC教諭は,次の 手だてを工夫した。  

  1. 児童に企画・立案の段階から参加させる。 
  2. 自己決定の場を多くする 
  3. 鎌田地区に,主任の花火に詳しい本多氏を講師にし説明を聞く 
  4. 行事で一日リーダーの体験をさせる 
  5. 自己評価と記録のまとめ方を工夫する  

(2)実践内容 

【1】班での話し合いと,個人の意見の尊重  

 C教諭は,昼花火の教材化と並行して次のよう な事前の準備をした。  

 話し合いにより活動を決定させるため,班で作 


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