研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -024/109page

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W 研究のまとめと今後の課題  

 本研究は,「個を生かす学年・学級経営」の在 り方をもとめて,4つの視点を設定し,それぞれ の視点にアプローチする事例をできるだけ多く収 集・開発し,協力校において実践をとおして研究 を進めてきた。  

 内容的には各学校で日常実践されている事項で はあるが,「個を生かすには具体的にどうすれば よいかわからない」でいる調査結果から,あえて 4つの視点にかかる事例を収集・開発することに した。  

 研究にあたっては

 そこで,次の(1),(2)について研究を進めた。

 

1 研究のまとめ 

(1)4つの視点についての考察 

【1】4つの視点の効果・有用性  

視点1 個の存在を認め,個の存在を大切にする内容・方法を明確にすること 

 「個の存在を大切にしたい」との考えは,多くの教師がもっている。「個を生かすことの意義」や「個が生かされている状態」及び「個を生かす具体的な指導法」等については明確に把握できていないので多くの教師が悩んでいる。 

 このような,教師の悩みの解消を目指して「個を生かす学年・学級経営アイディア集」を作成し,研究協力校において部分的に実践した。その結果「アイディア集」は学年会等での研修や話し合いに役立ち,共通理解を得るのに大きな役割を果たしている。 

 また,学校の教育目標や学年・学級目標を「個の存在を大切にする」立場から見直し,そのための内容・方法を,学年・学級経営計画の中に位置づけ,意図的計画的に実践していくことの必要性が指摘された。 

 実践をとおして「個の存在を大切にする」との 意識の変容が教師や児童生徒にみられる。  

視点2 個の特性をとらえ,生かす内容・方 法を明確にすること  

 多くの教師が「個の特性が十分生かされているとはいえない」と考えている。これは,生かす場の設定や時間の確保が難しいこと,児童生徒一人一人の特性の把握が容易でないからである。 

 これを解決するには,教育課程に位置づけられ ている学校行事や体験学習等を活用するなど,触 れ合いの機会の多い直接体験のできる活動を多く 取り入れることが大切である。これらの活動は, 児童生徒の個性があらわれやすく,特性を生かす のに効果的である。また,諸活動の実施にあたっ ては,できるだけ企画・立案の段階から参加させ ることは活動意欲を促す上で有効である。 

視点3 認知面に偏ることなく,情意的側面 との調和を考えた実践活動の在り方を探ること  

 認知面と情意面の調和を図る必要性は,ほとんどの教師が認識している。 

 両側面の調和を図るには,児童生徒一人一人の発達段階や個の特性からみると,諸活動への取り組み方や到達,理解するまでの過程が大切である。 

 教師は,児童生徒の行動を継続的に観察し,よさを認めたり,賞賛したり,励ましの言葉をかけ 


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