研究紀要第86号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第2年次」 -025/109page
たりすることが大切である。それには「長所伸長 型」や「加点主義」の指導法が効果的である。
しかし,賞賛ばかりでなく指導すべきことはきちんと指導する必要がある。
児童生徒の長所や特性を発見するための研修も 大切である。
視点4 個性豊かな生き方のための基礎・ 本の習得を重視する内容・方法を探ること
個性豊かな生き方にするには,まず,毎日の学校生活を目的に向かって意欲的に取り組ませることが大切である。そのためには,目的意識をどのようにしてもたせるか,意欲をどのようにしてもたせるかなど,いわゆる生き方のための基礎・基本を身につけさせることである。
しかし,生き方のための基礎・基本やそれを習得させる方法等については,いろいろと見解の分かれるところであり、今後整理してとりくまなければならない。
【2】4つの視点の関連性
ある視点に迫るための教育活動を選択・開発し 実施しても,1つの視点からの手だてが他の視点 でも有効であるなど他の視点と関連深いものが多 い。したがって,1つの視点からの活動でも広範 囲にわたり効果的である場合が多い。
すなわち「個を生かす学年・学級経営アイディ ア集」にもとづく実践で4つの視点は個々別々の ものではなく,相互に関連しあっていること指 摘されている。そこで今後,視点については実践 事例をとおして再検討する必要がある。
(2)個を生かす学年・学級経営アイディア集
「個を生かす学年・学級経営」にするために 具体的な内容・手だてが必要である。
この観点から「個を生かす」ために「いつ,どこで,だれが,なにを,どのようにすればよいか」を明らかにした事例集である。
「個をいかす」4つの視点から日常の指導事例や 活動事例を検討した結果,これまでの教育活動 の中に数多くの「個を生かす」内容・手だてが含 まれ,次のことがいえる。
- 1つの活動,1つの手法の中に,「個を生 かす」視点が複数入っている。
- 教師の見方・考え方を少し変えるだけで, どの学校でも,だれでもすぐ実践できる内容 である。
またアイディア集にもとずく実践から次のこと が明らかになった。
- 教師の児童生徒に対する「思い」が「個を 生かす」重要な要素である。
- 教師の「個を生かす視点」の広がりと意識 の変容が見られる。
- それぞれの視点に対する事例は,留意事項が明確で,利用しやすい。
- 教師の研修について ・共通理解の図り方について
- 諸活動の進め方について
- 教師と児童生徒,児童生徒同士の人間関係について
- 教師の姿勢・態度について
- この「アイディア集」は,教師が気づき, 考え,行動するための具体的な資料としての 価値がある。
2 今後の課題
本年度作成した「個を生かす学年・学級経営ア イディア集」が学年・学級経営における「個を生 かす指針」となり各学校で活用できるようにする。 そのために指導・援助活動の在り方を一層明らか にするとともに指導事例や活動事例の収集・開発 に継続してあたる。
また,研究協力校における実践をとおして個を 生かす様相の本質にせまるようにしたい。
(1)個を生かす4つの視点間のかかわりについ て実践をもとに明らかにする。
(2)「特性・よさ」を見いだす方法を研究・開 発する。
また,「個を生かす学年・学級経営アイディア集」をもとに学級担任が利用・活用しやすいように「アイディア集一日編」を作成する。