研究紀要第88号 「授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究 第2年次」 -055/109page
I 研究の概要
1.2年次研究副主題
主体的な活動を促すコンピュータの活用 2.研究の趣旨
社会の変化に主体的に対応し,21世紀を生きる 能力を児童生徒に身につけさせることが,学校教 育の課題である。そして,この課題の解決を目指 して,自己教育力の育成,基礎基本の定着と個性 化教育の重視,国際化・情報化への対応などを柱 とした新学習指導要領が来年度より小学校から実 施される。その中では,一人一人の個性や能力を 伸ばし,学習の仕方を学ばせることが重視され, 児童生徒が積極的に授業に参加して,自ら進んで 学習に取り組むことができるような指導法の工夫 と改善が求められている。
このような背景から,本研究では,児童年徒の主体的な学習活動を促すために,これまでの教育機器にはない多くの機能をもったコンピュータの活用を追究することにした。コンピュータの機能を生かし,学習のツール(道具)として用いることとし,コンピュータ活用のねらいを「主体的な学習活動の支援」に置いた。学習活動のどの部分に,どのようにコンピュータを活用すれば効果的であるかを探るため,研究主題を「授業におけるコンピュータの効果的な活用」として研究を進めてきた。
第一年次は,コンピュータの効果的な活用の方 向性を追究するため,県内の学校のコンピュータ などに関する実態調査をするとともに,コンピュー タがもつ機能を7つに類型化し,この機能が効果 的に発揮できる学習内容の洗い出しを行った。こ の研究の成果は「学習指導内容とコンピュータの 機能との関連表」にまとめ,小・中・高校の3校 種7教科9科目で関連表を作成した。
今年度は,副主題を「主体的な学習活動を促すコンピュータの活用」と設定し,コンピュータの支援によって児童生徒の主体的な学習活動を高めようとする実践的な研究を行った。一年次で作成した指導内容とコンピュータの機能との関連表を活用し,学習活動でのコンピュータの支援する場を明確にした授業設計を行い,これに必要なソフトウェアの開発と授業実践を行った。この研究は,児童生徒が必要に応じ 自らコンピュータを活用しながら学習を進めることにより,主体的な学習活動を促すことをねらいとしている。