研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -084/109page
これらの内容がある程度満たされながら,
- 児童生徒は自分の個性や生き方について探求し,将来への志向性を持って,生活することができるようになる(将来への向上)。
これらを開発的な指導援助の6つの要点とした。
図示すると,開発的な指導援助は,次のように表現することができる。
開発的な指導援助についての問題点と指導援助の方向をふまえると,次のような開発的な指導援助のための12の基本的対応が考えられる。
1 健康の維持・増進に留意し,基本的な生活習慣を身につけさせる。 2 生命を尊重し,事故防止に留意させるとともに,他者への思いやりを大切にする心を育てる。 3 互いに認め励まし,協力して活動することによって,達成感・自己存在感をもたせる。 4 温かい触れ合いのある学級づくりに努める。 5 学校生活での規則や責任感を自覚させる。 6 自分への気づきと理解を図り,自分自身についての洞察を図る。 7 適切な「認め」によって自己尊重の気持ちを高め,肯定的な「自己像」を確立させる。 8 自らの価値観に基づいて,自分を信じ主体的に行動できるようにする。 9 自分自身を大切にすると同時に他者をも尊重する心を育てる。 10 自分自身にとっての目的意識を明確にさせ,将来について考えさせる。 11 必要に応じて,調査・検査を実施し,その結果を児童生徒一人一人の成長のために役立てる。 12 家庭との連携に配慮し,児童生徒に対する理解と援助をより適切なものにする。 2.研究の計画
第1年次(平成2年度)
(1)開発的な指導援助の基本的なとらえ方を6つの要点と,12の基本的対応にまとめた。
(2)これらの要点と基本的対応の具体的な方策を探った。
第2年次(平成3年度)
(1)開発的な指導援助について意識調査を実施する。
(2)開発的な指導援助の実践案を提示する。
(3)その実践案を研究協力校で実践し,その効果を調査する。
(4)本年度のまとめと次年度の課題設定
第3年次(平成4年度)
(1)第2年次の課題をふまえ,開発的な指導援助の学校教育活動の場面ごとに実践案を提示し,その効果を調査する。
(2)主題研究をまとめる。
3.今年度の研究の方向
第1年次にとらえた開発的な指導援助の中から,今年度は特に次の4つの要点を選択し,その具体的な実践内容や方法について研究を進める。
- 「所属と愛情」
- 「自己理解」
- 「自尊」
- 「将来への向上」
具体的な実践内容や方法については,12の基本的対応をふまえて展開していくようにする。
実践内容や方法を検討し開発的な指導援助のテ