研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -085/109page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ーマを決め実践案を提示する。それを事前調査の結果から,研究協力校の実態に応じた内容・方法に具体化して実施する。

 研究協力校には児童生徒の発達段階を考慮して,4要点のテーマについての実践を次のように依頼する。 

校種 要 点 テーマ
小学校 所属と愛情 ○力を合わせて長縄跳び
     の記録に挑戦
○心を合わせてリレー・
    マラソン42.195km
中学校 自己理解 ○自分を知ろう
中学校 自尊 ○私にもあなたにも良い
 ところがあるはずだ
高校 将来への向上 ○人生の先輩に学ぼう

 実践にあたっては累積した観察,面接の記録や,それぞれの要点に関する意識調査の事前調査から,個人のプロフィール,学級の実態を把握してテーマを決めて実施し,実施後の結果については,作文,日記やそれぞれの要点に関する意識調査の事後調査から,個人のプロフィールの変容,学級の変容を分析し,その実践内容・方法の効果を考察することにした。

4.調査研究

(1)児童生徒の自己評価による意識調査

[1]目的

 開発的な指導援助の6要点「健康」「安全」「所属と愛情」「自己理解」「自尊」「将来への向上」についての児童生徒の意識調査を実施することにより,開発的な指導援助の効果,すなわち児童生徒一人一人において変容が見られたかどうかを確かめることを目的とする。

[2] 調査の方法

調査項目及び採点の仕方
6要点の調査用紙と活用の仕方(P.106参照)に明記した[2.調査方法]による。
実施の時期
開発的な指導援助の実践の事前と事後に実施する。

[3] 調査対象児童生徒

研究協力校の児童生徒を対象とする。

表-1 調査対象児童生徒数
校種 学年
小学校 6年 37 32 69
中学校 1年 18 18 36
中学校 2年 22 18 40
高 校 3年 38 7 45

[4] 3群の分け方と変容の確認

事前調査の結果を用いて,学年ごとに各要点の総得点が,(平均+0.5×標準偏差)以上,(平均−0.5×標準偏差)未満の児童生徒をそれぞれ上位群,下位群とし,その中間の児童生徒を中位群とした。
t検定により,10%,5%,1%の有意水準をそれぞれ,+,*,**で表示した。

(2)意識調査以外の調査

[1] 目的

 数値で測定不可能な側面について,児童生徒の意識を知るために,多面的に資料を収集することを目的とする。

[2] 調査の方法

 観察,面接,作文,日記,アンケート,班ノートから必要に応じて子どもの変容を探る。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。