研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -089/109page
4 担任の先生は,私たちのやってみたいことを一緒に考えてくれる。
(t=1.51p<.10)7 私たちの学級では,勉強の分からないところなどをお互いに教え合っている。
(t=1.65,p<.10)8 私たちの学級では,清掃をよくやっている方だと思う。 (t=2.30,p<.05) (調査項目P.107参照)自由度はいずれも36。
[2] A子について
事前・事後調査の結果から,A子の変容は,図3−2のようになった。
以下は,縄跳び後に実施した班別の反省会の中で・A子が記録に残した感想の一部である。
つっかかってしまったけれど,E子さんとF子さんが声を掛けてくれたので,できるだけがんばりたいと思った。 これらの資料から・教師がグループやA子に対して,場に応じた適切な指導援助を行ったことでグループに認めや励ましの言葉かけが見られるようになった。
その結果,学級の温かいふれあいの中で,A子は長縄跳びの活動によって,所属感を高め,愛情を感じ取ることができたものと考えられる。
心を合わせてリレーマラソン42.195km
(1)実践学級 小学校6年
男子20名,女子17名,計37名(2)学級の実態
5年生からの持ち上がりの学級であり,男女の仲も良い。
事例の中で取り上げたG子は,学力は高いが目己中心的なところがあり,過去に不登校に陥ったことがあったが,級友が温かく接し遊びや諸活動への誘いを通して再登校できるまでになった。
また,リーダーのH男は,生活・運動・学習のあらゆる面で先頭に立って活躍していた児童である。級友は安心してH男に何でも任せていた。ところが,H男が4月に転校していくと,それぞれ得意とする分野で意欲的に活動する新リーダーが生まれ,学級の雰囲気が変わってきた。
しかし,行事などへの参加意欲には盛り上りに欠ける面があるなど問題もある。協力したくないというのではないがそれほど積極的でもない。つまり,一人一人の心がしっかり結び付いていないように思われる。
そのほか,学力や基本的生活習慣の身につき方の個人差が大きいことも気になるところである。
(3)ねらい
学級の児童全員が参加する42.195kmのリレーマラソンを通して,互いに認め励まし合い,協力し合うことによって,児童一人一人に達成感や成就感を味わわせ集団への所属感を高めるようにする。
(4)実践した内容・方法
男女のチームに別れて,リレーによって校庭を211周(42.195km)走りその記録をとる。
[1] リレーマラソンの方法
ア 体育の時間2時限続き(90分)の中で行う。 イ バトンリレーにより校庭(1周200m)を211周(42.195km)走りタイムをとる。 ウ 男女別にして,それぞれ公式マラソンの記録に挑戦する。児童と相談の上,担任は女子のチームに入るようにする。 エ 会場係,進行係,準備係などをおき,準備は全員で行う。(M子は記録表係)