研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -091/109page
担任としても,順番を待っている時間のほうが 長くどうなることかと不安はあったが,児車の間 から「できたできた」「頑張ってよかった」「苦 しかったけどおもしろかった」などの声を聞いて ほっとした。
終了後,用具の片付けを自主的にする子や校庭使用を譲ってくれた学級へのお礼に走り回っている子などさまざまな姿が見られた。
日ごろ,掃除や片付けを好まないと言われている今の子供たちだけに,予想していなかったことである。これもひとつのことをみんなで成し遂げた副産物かも知れない。
(5)児童の変容と考察
[1] 学級について
リレーマラソンを実施した後,所属と愛情に関 する調査3を行った。その結果を見ると,学級全 体として良くなったところは次のとおりである。 調査項目(P.107参照)。自由度はいずれも36。
1 一生懸命勉強しているとき,担任の先生はがんばっていることを認めてくれる(t=2.37,p<.05)。 4 担任の先生は・私たちがやってみたいことを,いっしょに考えてくれる(t=2.39,p<.05)。 6 私が学級の係り活動をまじめにやっている時,担任の先生は私を認めてくれる
(t=2.41、p<.0 5)。10 私たちの学級は,球技大会や文化祭などに協力して参加している(t=2.90,p<.005)。 13 私が学級の係り活動をまじめにやっている時みんなは私を認めてくれる(t=2.78,pく.005)。 また,上・中・下位群に分けて見ると,上位群は変化が表れていなかったが・中・下位群にはよく満たされたという意識の変容が見られた。
それは下記のとおりである。
1 10,13は前に同じ。 9 担任の先生は,私の話を真剣に聞いてくれる。 14 学級会のとき,楽しいふんいきで意見を言い合える。 「リレーマラソン」完走後,児童の日記の中に比較的多く書かれた感想は,次のようなものであった。
○ ひとりではとてもできないことでも,みんなで何回もリレーすればできる。6年のいい記念になった。
○ 苦しかった。私の代わりに2組の人が走ってくれて助かった。この応援がなかったらもっとたいへんだった。
○ 途中で休もうと思ったけど走った。最後はみんなで「やったあ,ばんざあい」と言いながら走った。いい気分だった。
○ バスケット部のT君とJ君は,最後のはうになってもスピードが落ちなかった。さすが,鍛えている人は違うと思った。
このように,児童は集団への所属感や満足感を味わっている。そして,力を合わせればできることや,友達の良さを再発見したようである。
さらに,担任の目から見て変化してきていることは,次のようなことである。
○ 一人一人を認め合うことばかけが多くなった。
○ 清掃や係活動など,生活面での助け合いが見