研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -092/109page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 られるようになった。

○ 学習にも積極的になり,全体的に向上の兆し が感じられる。

○ 下位群の児童がいきいきしてきた。

 これらのことから考えると,リレーマラソンのように学級全体で取り組めるものは,所属感を高めるのに効果的であると言える。特に,ふだん,学習などで自己存在感や達成感を味わうことが少ない中位群,下位群の児童にとっては,このような企画や意図的な教師の配慮により,さらに意識の向上が期待できるものと思われる。上位群に変化が見られないのは,調査項目の大部分を事前調査で満たされていたと考えられる。

[2] G子について

 G子は,事後の意識調査の中で4,6,13,14 が高く,担任や級友から今まで以上に認められて いると意識している。G子は,今回チャレンジ係 として記録表を作るなど,みんなのために活躍し たことが,認められる大きな要因になっていた。 それは,G子のレーダーチャートにも表れている。
                    (調査項目はP.107参照)

図III−4 G子の変容
図III−4 G子の変容

 このようなG子の変化は,担任の指導援助や級 友の温かい励ましにより,集団に所属することが できた結果によるものと思われる。


ま と め

 「長縄跳び」と「リレーマラソン」という2つの実践事例を通して,次のようなことが分かった。

(1) 今回の実践例は,学級の全員を対象に時間を確保して行ったものであるが,日常の学校生活の中で 気軽に実施できる方法も開発し,実践を積み上げていく必要がある。
 
  • 準備に時間のかからないものや簡単に実施できるものという観点で開発する。
  • 高度な能力を要求せず,児童の実態に応じてだれでも参加できる内容にする。
(2) 教師の指導援助の在り方の基本は,細やかなところまでよく観察し「認め」「褒める」ことである。 そのための場と機会をもつことが必要である。
 
  • 様々な場面で,支持的なかかわりができるような姿勢をもつ。
  • 児童が主体的に参加し,自主性が発揮できるようにする。
(3) 年間の見通しをもって指導援助にあたる必要がある。
 
  • 学級全員を対象とする内容のものは,ねらいを明確にして月別に位置づけておく。
  • 個やグループを対象とする内容のものは,実態に即して重点的に指導する。
(4) 児童の発達段階に合わせて指導援助の内容・方法を工夫する。
 
  • 学年別実践案を,日ごろから収集・研究しておく。

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。