研究紀要第89号 「事例に通した教育相談の進め方に関する研究 開発的な指導援助のあり方 第2年次」 -095/109page

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その自己理解を友人とのより望ましい人間関係のために生かすようアドバイスをした。

イ 個々の生徒

 各群の特徴を顕著に示す生徒を中心に実践の経過を振り返ることにする。

ア)上位群の生徒(K子)

 K子に対しては,「ものごとに対して真剣に取り組んでおり,しかも集中力がある」ことを意識させ,「みんなにも理解してもらえるから大丈夫だよ。」と時あるごとに励ました。その結果」今まで以上に自分の考えを発表するようになった。

 くK子の「自分を知ろう」の作文より>

・・・今まで中途半端にしていたものに計画学習や手芸品製作などがあります。手芸品はほとんど完成したけれど,今度の期末試験や3学期の期末試験に向けての計画学習は,途中で投げ出さないようにしたいと思っています。・・・・・・・・

イ)中位群の生徒(L男)

 L男は,気が向かないと途中で投げ出して,他者を批判しようとする態度がみられたので,その都度,「時間を無駄にしないで取りかかりを大事にすること」について話してあげた。その結果,それまでは「自主学習」の取り掛かりに抵抗を感じていた様子に変化が見られ,今まで以上により継続的に取り組むようになり,自己の短所を克服しつつある。

<L男の「自分を知ろう」の作文より>

・・・毎日毎日学校ではおんなじようなことばっかりして,家に帰ったらやっぱりゲームをやってしまいました。とても情けないと落ち込んでいたそのとき,先生に「L男君にはプログラマーになる夢があるのだから,今,数学や英語に特に力を入れて頑張ってみたら。」と言われたので,2学期に残されたこれからの1カ月間,今まで消極的だった学習に対する取り組みをしっかりと改めなければならないと思いました。・・・・・・・・

ウ)中位群の生徒(M男)

 M男は作文「今の私」に,「部活動面が大変つらい」と訴えていたので,「入学以来欠かさず部活動を続けてきており,中学校生活に慣れる今こそがんばり時だ。」と励ましてきたところ,部活動への意気込みが前向きになった。また,駅伝の選手にも選ばれた。教室では,前の席を進んで希望するなど,なにごとにも積極的に取り組むようになってきた。

<M男の「自分を知ろう」の作文より>

・・・始めのうちは,部活動がつらくて,家に帰るとすぐに寝てしまって,勉強どころじゃなかった。「今の私」を書いた後で,先生が「今がんばれば,がんばっただけ後できっとよいことが待っているよ。」と言ってくれたので,それからは家の人から『勉強しろよ』と言われないうちに机に向かうようにした。今は勉強の方も部活動もとても楽しい。・・・・・・・・・・・・・・・・・

エ)下位群の生徒(N子)

 N子は「今の私」に地理が苦手だと訴えていたので,「N子さんは絵がうまいよね。時間はかかるけど,白地図に実際に書き込みながらいろいろな色で染めていくと,いろいろなことが見えるようになり,楽しくなるよ。そして,O子さんやP子さんの白地図を見せてもらったり,N子さんの白地図を見せてあげたりしてごらん。」,「あの地図からどんなことが分かったの?」と指導し続けた。その結果,絵や色で識別することに興味を示し,ノートのまとめ方にも工夫が見られるようになった。また,友だちからの期待に答えようとする意識が芽生えてきたのかそれまで受け身的だった授業態度にも積極性が見られるようになり,その後の面談ではこのことを話題にしてきた。

<N子の「自分を知ろう」の作文より>

・・・残された2学期の中で今いちばんがんばっていることは期末試験に向けての勉強です。中間試験の結果はだめだったので,今度の期末試験は連休を使ったり友だちと競争したりして勉強をしています。もし,今回の試験が前回よりも悪かったら,3学期に向けて今やっている勉強の方法をよく反省し,それを生かすことができるようにノートに記録をとっています。・・・・・・・・

オ)下位群の生徒(Q男)

 5月半ばから新規の部活動でがんばっていたQ


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