研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -004/117page
一自己評価…相互評価・・・教師評価
上図のよさのレーダーグラフから分かるように,本人,友達,教師の3者がそれぞれに異なる見方をしているのが分かる。本人は班長であるが,班且をリードする活発さや指導性が足りないと考えている。しかし,友達や教師は活発で指導性もあるととらえている。そこで,そのことを知らせ,自信を持たせる手がかりにさせた。また,教師にとっては,自分の目と児童生徒の目が異なることに驚き,その後の児童生徒をみる目に変化が生じている。
(2) 開いてねカード (自己申告)
小学生向きに工夫したもので,自分のよいところをカードに書いて教師に提出する自己申告カードである。これは自分のよさをどのように意識しているか把握できるとともに,自己を見直させる機会を作ることにもなる。左図の例は小学5年生のものである。
自分のよさは,「何でも積極的に行動できる。ひょうきんなこと。努力すること。・・」と,とらえている。教師もこの児童のよさを認め,賞揚しており,本児はその後も活発な活動をしている。また,このカードは積極約に自分のよさをアピールできない児童生徒でも,教師に自分のよさを伝えることができるメリットを持っている。
(3) いいこと見つけたカード (友人申告)
友達の目立たないよいよさやよい行いを見つけた場合に,このカードに書いて教師に提出する。担任以外の教師もこのカードを使い,児童生徒のよさを見いだし,教師間相互の児童生徒理解を深めるのに用いる。また,保護者から見た児童生徒のよさを知るのにも活用している。下図の例は,中学2年生のもので,友達の隠れたよさや内面を「文句ばっかり言っているみたいだけど,・・・ちゃんと残ってやってくれる・・・」のようにしっかりとらえている。それまでの2人はそれはど親密ではなかったが, その後の生徒会活動では非常に協力して活動するようになった。