研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -005/117page

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 このカードの存在が,一人一人のよさに目を向けさせる契機となり,よさを受容し,承認し合う働きをしている。

 その他 よさを見いだす手だてとして以下のようなものがある。この中のいくつかは後述する事例の中で具体的な活用例を述べる。

手だての枠組 具体的な手だて
検査・調査 性格自己診断検患 学力検査
知能検査,体力・運動能力検
患 交友診断調査
自己申告 振り返りカード,作文,わた
しの願い,1分間スピーチ,
日記
友人申告 友達から見た君のよさ,学務
日誌,班日誌,家庭訪問,友
人から一言
体験活動 授業,行事,係活動,学年活
動,奉仕活動
そ の 他 連格カード,学級だより,教
育相談

<考 察>

 児童生徒のよさをいくつかの手だてによってとらえようとした。これらの手法を使って効果的だつたのは.教師がとらえた児童生徒のよさと児童生徒自身がとらえているよさとの間に相違があることに教師自身が気付いたことである。教師の目は大人の目であり,また隠れた側面を見ていなかつたことを改めて知らされたのである。児童生徒にとっては,今まで意識していなかった友達や自分のよさに目を向けるようになったことであり,人間関係に温かみが生まれたことである。

 児童生徒のよさを把握するためには,孝なる観察のみに憤るのでなく,いろいろな方法を工夫することによって,見えにくいよさを見えやすくすることができるものと考えている。

 本研究では,手法として上述した5つの枠組からいくつかの手だてを考え実践したが,実際の場面ではさらに多様な手法が取られていると思われる。

2 よさを生かし,伸長する支援の在り方
 児童生徒のよさが分かったら,そのよさをどのように生かし, 仲良したらよいのか,教師としての支援の在り方を前述した4つの視座(P.3)を踏まえ,研究協力校の事例の中で明らかにする。

 事例中,児童生徒の「よさ」をゴシック体で,教師の「支援」をアンダーラインで表示してある。

事例1 いたわり合う学級経営が子供たちのよさを育てた例   (小学2年生)

 (1) E教諭の学級経営の基本理念
 E教諭の学級経営の基本理念は,自閉症のF子を仲間として全員で助け合い,励まし合っていける学級づくりをすることである。F子のような弱い者をいじめたり,馬鹿にしたりすることをE教諭はどんなことがあっても許さない考えを持っている。

 ここでは,F子を学級全員でいたわり合っていく過程でのA男,B子のよさの発見,伸長につながった事例を中心に述べる。

 (2) よさのレーダーグラフによる発見
 子供たちのよさを見付けるためレーダーグラフを調べていたら,気になる児童が2名いた。自分を過大評価しているA男と自分を過小評価しているB子である。


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