研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -006/117page
(3) A男とB子のプロフィール
A男は整理整とんができなく,勉強が苦手。しカこし,友達に嫌われるようないたずらをすることはなくひょうきんである。「聞いてねカード」にA男が書いた自分のよさは,「みんなと楽しく遊べる,お母さんの手伝いをする」であった。このようなことからA男は,勉強は苦手だが友達と元気に遊ぶ天真らんまんな2年生である。
B子は勉強はできるが動作が遅く運動が苦手。言動が大人っぽいため友達とうまく遊べず,自分は友達に嫌われていると思い込んでいる。B子の「聞いてねカード」は,A男とは対称的で,「妹の面倒をみる,お金を大切にする.悪口を言われても我慢する」などのように自分を冷静に見つめていることがよく分かる。
(4)支援の手だて
E教諭は対称的な2人のよさを次のようにとらえた。
A男: 手伝いなどを嫌がらず,困っている友
達の世話をよくみる子。B子: 自分を厳しく見つめることができ,友
達に親切に接しようとしている子。そこで2人への支援の手だてを下記のように考えた。
A男: 手伝いなどを嫌がらずやるよさを賞揚
し,学級の中でのポジションを高めて
やる。B子: B子の親切を素直に受け入れてくれる
友達で学習班をつくり,決して友達か
ら嫌われていないという自信を持たせ
る。(5) 支援の実際
以下はE教諭がA男とB子へどのように支援し,どのようなよさを伸長させたのかの概要である。
互いのよさを認め合える班構成