研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -007/117page
○ 2学期からA男とB子を同じ班にした。学習 面でB子がA男に援助することと.それをA男 が素直に受け入れB子に自信を持たせられるの ではないかという期待からであった。
よさを認め,はめたことが学習意欲を高揚 ○ 校庭掃除のとき,友達が嫌がってそのままに しておいた草やゴミを一人で捨ててくる。帰り の会で「A男君は,みんながしらんぶりしてたゴミ捨てを自分からやったんだよ。」とはめる。
○ 算数の時間の復習を家でしてくるように指示。 期待はしていなかったのにしっかりやってきた。「A男君,えらいなあ。」とみんなの前ではめ る。
○ ドリルで百点をとる。今までとれなかったよ い点数をとれるようになったのには,E教諭も 驚いている。
○ 日記など大嫌いだったA男が4ページも書い てくるなど.生活面でも変わりつつある。そこ でA男の日記に「先生かんげきした。こんなにくわしく家に帰ってからのことを書いてくれて。あしたもおしえてね。」と記す。
親切さのよさに自信が持てないB子 ○ B子は日記に,自分はT子に親切にしている が嫌われていると書いてくる。そこで.T子と 行動を共にすれば,少しでもそのような感情が なくなるのではないかと考え,T子といっしょ にうさぎの餌を憐の学級に持っていかせる。
B子の世話をするA男 ○ B子は家で,カッターナイフで誤って左手の 指の筋を切ってしまった。病院で手術をしなけ ればならない程の傷であった。特にE教諭が頼 んだ訳でもないのに,A男は翌日から給食の配 膳から学用品の出し入れまで,こまめに手伝う ようになった。特に用事がないはずのA男が帰 らないでいるので,訳を聞いてみるとB子を待 っているのだという
A男のよさに触れて喜ぶB子の母 ○ B子の母親から「今までは,乱暴な子どもと ばかり思っていたA男がとても優しいのに驚き ました。A男が毎日遊びに釆てくれ,B子が明 るくなりとてもありがたい。」との手紙が届い た。
互いのよさを認め合う学級集団 ○ 放課後,校庭でB子がA男たちとドッジボールをして遊んでいる。これまでには見られなかったB子と仲間たちの姿である。けががまだ完治していないB子は審判をしている。みんなでワイワイ言いながらとても楽しそうな光景である。
<実践を通しての考察> 担任のE教諭は,「子供たちのよさを生かし,伸長するために,まず,一人一人のよさを『よさのレーダーグラフ』や『聞いてねカード』などを使って見いだしました。そして,一人一人のよさ