研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -009/117page
[6/24 給食の時間]
昼休みに男子全員でサッカーをすることになった。いつも一人で過ごしていることの多いS男に 「S男君も,先生やみんなといっしょにサッカーをやろう。」 と声をかけた。S男は,いやな顔も見せずに外に出て,みんなと一緒になってサッカーをした。
(触れ合いながら楽しい給食)[6/25 聞いてねカード]
「聞いてねカード」に自分のよさを記入できず, 自分の悪いところだけが書いてあった。よさのレーダーグラフの結果では,S男には 「創造性」「協調性」「変化への対応」「感受性・センス」 などのよさがあると級友は評価しているが,本人は気付いていない。 「こんなすばらしいところがあるんだよ。」 と話しながら渡した。
[6/26 社会科の授業]
社会科のテストで100点を取った。みんなにも分かるように,努力したことをほめた。また, 授業中に挙手をした時は,担任は優先的に指名し,話の内容を「うん うん。」とうなずきながら最後まで聞くようにした。[7/2 学級通信]
担任が見いだした S男のよさを紹介した。
(学級通信)お お つ、 す ご い で す ね 〜
昨日の給食牲了時のことです。机運びのことですが、前のほうの子供たちが、争うように友達の机を運んであけようとしていました。中には友達のを運んでやつているうちに、自分の机を他の友達に運ばれているなんていうのもありました。
これでいいと思います。どんどん、どんどんとにかく机を運ぶことが目的なのですから。誰のだってかまわないのです。自分のが済んだからそれでいいと思っている人とは段違いです。
それから、この机運びを、さちに発展させた人がいました。それは、給食の食器を前まで運んでくる人の手助けをしてあけていたのです。机を運んであげようと見回していたとき、給食の食器を運ぶのに手間がかかっていて、その人のところに行って手伝ってあけたあたりが、なんともすばらしいです。 一つのことをステップに、さらに発展させていける力、頼もしいですねえ。 実は、この人こそ、かのS君なのでした。バチバチバチ‥
[7/6 学級通信]
7/3の S男の行動の様子を紹介した。
S君すごいぞ!金曜日の給食終了後、みんなが、後片付けや、机運び、歯磨きの準備で、ごちゃごちゃしているときのことです。いろいろやることあるので、なかなか運ばれない机がいくつか残っていました。
すると、S君、かたっぱしから後に運び始めました。前日の「〜仲間たち」の記事がS君に響いていたのです。うれしいですね。
響き、そして即実践、すばらしいです。
(そういえば、最近、黒板消しの仕事も、消し忘れを自分から気づき、消すようになってきました。)