研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -010/117page
[7/13 学級通信]
「いいこと見つけたシリーズ」でS男のよさを紹介した。(いいこと見つけたシリーズ)
・M君が、落ちたペンなどを拾ってくれた。
・S君が、間違ってぼくにぶつかったのに、心からあやまってくれた。
・K君が、何回ものりをかしてくれた。
・Oさんがふざけていた人を注意してくれた。
・Aさんが、具合の悪いと き、心配してくれた。
・Nさんが色鉛筆を人に貸してくれた。しかも、色鉛筆を自分の机でlまなく真ん中の人の机に置いてくれた。
・Jさんが、見で落ちた絵を拾ってくれた。
・E君とU君はみんなのいやがる草捨てを、いつもやってれる。
・Mさんは、班日直の分担を決めるとき、進んで多くやつつてくれる。S男の母親は,「学級通信がくるのがとても楽しみです。子どものよいところが理解でき,子供を励ますよい材料になります。」と言っていた。
[8/31体育の授業]
水泳でクロール,平泳ぎともに25メートルを完泳できた。スピードは遅いけれど最後まで頑張ることができた。泳ぎきると,みんなからS男の頑張りに対して大きな拍手がわき上がった。 担任も一緒に喜び合い,「今の頑張りは,すばらしかったよ。みんながびっくりしていたよ。」 と,ほめた。[9/10 音楽の授業]
リコーダーがうまく吹けないでいるS男を呼んで個別指導をした。繰り返し練習する中で, 「水泳のように途中であきらめるなよ。」 と励まし続けた。その結果,簡単なフレーズは上手にできるようになった。[9/16 友達から見た君のよさカード]
班の話し合いで決めたことを守らないで,自分勝手な行動をすることが多く見受けられる。そのため友達から責められることが多く,カッとなってけんかをすることがある。1日の反省の時に男の事例をもとに 「人にはそれぞれによさがあります。悪いところを見付けることは簡単ですが,よいところを見付けることはとても難しいです。できるだけその人のよいところを見付けてみんなで認めてあげるようにしよう。」と呼びかけ,「友達から見た君のよさカード」に記入させた。
記入後,それぞれ本人に配布した。S男は,顔を輝かせながら読んでいた。
友達から見た君の『よさ』( S (君)・さん)
(友達から見た君のよさカード)
・手をあげて発表する。 ・やさしい ・新聞を作るのがちょっと得意。 ・おもしろい。 ・いろいろなことを知っている。 ・男気がある。 ・言うことをきいてくれる。 ・ものしりだ。 ・自分からけんかをしない。 ・ひらめきがある。 ・人のいやがる仕事でもやってくれる。 ・いつも笑っている。 ・人の気持ちがわかる。 ・にぎやかだ。 ・授業中、いっぱい手をあける。 ・いやがらないで貸してくれる。 [10/1新しい係の提案]
学級のためになる係を児童の発想をもとに決めた。S男は悩んだ末に,情報係という新しい係を作った。学級活動終了後に作ったため,本人一人しか係員はいない。それから数日後,担任も知らないうちに情報係の新憫考作り,それを学級に掲示した。S男は非常に満足している様子であった。
[10/12 振り返りカード]
生活目標の達成度について,S男の伸びを認め,伸びを自覚させるために 「振り返りカード」で1日を振り返り,自己評価をさせた。 消極的なS男にとっては,今までにないよい結果であった。次の日の朝,みんなの前でS男を紹介し,その努力を大いにほめたたえた。
1学期より継続して実施した結果,生活に対する意欲の向上が見られるようになってきた。