研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -014/117page
もではなかったようだ。
<M男の学習面での問題点>
発言することが少なく,能力があるにもかかわらず,積極的に授業に参加していない。
<M男の変容>
第2学年のスタートに比べて,大分落ち着いてきたように思われる。本人とも時間をとって個人的に話をするように努める。5月に入ってから,少しずつ自分のことについて話をするようになって,どもったりすることも1年時には見られたが,2年生になってからはそれも見られなくなった。生徒たちにM男の様子を聞くと,1年生の時と比べて,意思表示をするようになったと言う。それだけ,精神的な重圧が少なくなったのではないかと思う。
<今後のM男に対する支援>
毎日の学校生活の中での思いやりと温かい言葉かけをすることによって,次第に心を開いてよくなっていくことを期待している。そのためには,クラスの雰囲気もつくっていかなくてはならない。
心から話せる友達が少ないので,その点も考えさせていかなければならない。
情意的側面の評価からよさを認められ,自信を持ったM男 [5/16 学級討議の中での班会議]
清掃に取り組む姿は学級全体でどうか話し合いをした。その中で班員として, 自分なりに堂々と話し合いに参加していた 。机間指導の際, 「M男は,黙々と取り組む態度がすばらしいよね。」 と本人だけに話したら「先生, また頑張るよ 。」の一言が返ってきた。
[5/20 数学の授業 自習プリント解答]
学習態度に問題があったが,認められて自信を持ち,向上しようと努力するM男
解答合わせで, 率先して手を挙げ,黒板にみんなができないところを書いて, 「すごい!」とみんなから言われていた。エコッと笑った姿が印象的であった。 「かなり実力あるね。」 と,学活終了後に個別に呼んで話をした。
少しずつ 自信がついてきたために,明るさが見えてきた ように思う。
人前で話すことに自信をもってきたM男 [6/2 帰りの学活1分間スピーチ]
自分の席を立って,すぐに前に出ていく姿が見られた。 言葉がスラスラと出てきた。少し積極性が出てきた ように思う。[6/8 工夫して書かれた班ノート]
みんなの前で自分の思っていることを出すことがあまりできないので,班ノートに 「今までおこったことや,心の中のことを書いてみたら。」 とアドバイスした。その桔果, 毎日1ページくらい書くようになった 。
「いろいろ書いてもいいんですか。」と, 明るく話してくれた 。[6/17 学活での司会進行(日直)]
ようやく司会進行も 落ち着くいてできるようになり,話せるようになった。クラスメートもシーンとして聞いている 。 「うまくできたよ。」 と個別に話をする。「 少しずつ頑張ろうと思う 。」と話をしてくれた。
※ 5月から6月にかけてのM男の変容についての担任の記録(対人関係) <M男の変容>
他のクラスのK男と休み時間などに話し合っている姿が見られるようになった。自分からあいさつできるようにもなってさた。学級では一人ぼっちということはないが,自分から進んで人の輪に入っていこうとはしない。黙ってみている方が多い。