研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -017/117page
イ 合唱の練習に積極的に参加している姿
ウ 文化祭の取り組みに意欲的に参加している姿
エ M男が困難に直面しても頑張っていること○ 担任がM男を見守り,支援する姿勢
ア M男に対し,日常の生活行動の面において減点主義ではなく加点主義, 短所指摘型ではなく長所伸長型の姿勢で見守っていること。
イ 教科担任,副担任等とM男に関する情報を得て,必要に応じて励ましの言葉かけを行っていること。
以上のことから,担任は,学級の生徒の一人一人に関する客枚的資料や,日常生活での観察記録を基に,年度の早い時期に一人一人にあった支援の方策を持つことが大切である。
さらに,中学校の学級担任は,生徒と接する時間が限られているため,副担任や教科担任,その他の教師からできる限り情報を得て,担任には見えないその子のよさを,見いだすことが必要である。
多忙な職務の中で,特別な手だてを用いてよさをとらえ,生かすことは困難であると思われがちであるが,場と機会をとらえてよさを認め.励まし,伸長する言葉かけは,即,実践できる方法であることを,本事例から見ることができる。
事例4 係活動を通してよさを仲良し,自信を持って生活できるようになったT子の例 (中学3年生) (1) 丁子のプロフィール
○ 教研式MG性格検査の総合診断結果
・社会適応について
「おとなしく強調性のある性格であるが,ものごとに対する態度が消極的で不活発なところが見られ,自主牲にやや欠けるきらいがある」
・個人適応について
「内面的にみると,劣等感や不安感が強く,明るさにやや欠ける性格である」○ 教師の観察から
・ おとなしく内気である。仲のよい女子とは話をするが,人前で柏手に聞こえるような声を出して,話をすることができない。
2年生の後半,「学校に行きたくない。」といって休みがちであった。
「授業や友人関係は全くつまらない。」が口癖で,休み時間などは教室の隅で一人で過ごすことが多い。
絵やイラストをかくのが得意である。○ 事前調査 「自分のよさをあげる」では, 「気長」「やさしさ」 の2項目を挙げた。
(2) 支援の方針
本人のよさを生かし,発見し,伸長することによって,友達とかかわりながら,班活動や係活動に積極的に取り組み,発表や行動に自信を持てるようにする。
具体的には,次のような手だてを構じる。