研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -024/117page

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 VI 研究のまとめ

1本年度のまとめ

 昨年度は,「個を生かす学年・学級経営」の在り方を求めて,4つの視点(P.1参照)をもとに,それぞれの視点にアプローチする事例をできるだけ多く収集・開発し「個を生かす学年・学級経営アイディア集」としてまとめた。また,4つの視点の効果や有効性を研究協力校の実践を通して明らかにしてきた。

 しかし,「個を生かす学年・学級経営」の前提である「個のよさを見いだし,伸長する」ことが容易なことではない現状から,このことを解決することが必要であると考え,本年度は,「個の特性」つまり「よさ」(視点2)に焦点を当て「よさを見いだす手だての工夫」や「よさを生かし,伸長する支援の在り方の究明」について,実践的に研究を進めてきた。

 また,昨年度収集・開発したアイディア集を学級担任が利用・活用しやすくするために,「アイディア集1日編」の作成にも力を注いできた。 次に,(1)〜(3)で研究の成果を述べる。

 (1) 「よさ」を見いだす手だての工夫について

 1) 手だてを工夫する意図

 私たちは,児童生徒のつまずきや不十分な点はとらえやすいが,「よさ」は見えにくく,とらえにくいのが実情である。その原因として,よさは内面的なものであること,個人内差異は見えにくいものであること,よさを見つける時間や場の確保が難しいことなどが挙げられる。

 2) 手だての工夫と活用

 よさを見いだす手法的枠組として,

◎ 検査・調査によるもの

◎ 自己申告によるもの

◎ 友人申告によるもの

◎ 体験活動によるもの

◎ その他によるもの

等を挙げることができる。この中で,使用しやすく,効果の高いものは次のような手だてである。

よさのレーダーグラフ 
(P.6,11,18参照)

・ 自分を過小評価し,自信を失っている場合よさを本人に知らせ,自信を持たせることができる。

・ 教師と本人友達の3者の評価をグラフに表し,それぞれを比較することにより3者間のずれが分かり,指導に役立つ。

聞いてねカード 
(P.9参照)

・教師が本人のよさを見いだすときの直接資料として活用できる。

・自分のよさにどれだけ気付いているかを知ることができる。また,自分のよさを,積極的に意識させることができる。

・内気な子供の考えを知るのに役立つ。

いいこと見つけたカード
(P.17参照)

・教師が広く本人のよさを知る補助的な資料として活用できる。

・本人が気付かないでいるよさを知ることができる。

・友達のよさを見いだすのに活用できる。

(2) よさを生かし,伸長する支援の在り方について

 一人一人のよさが見いだされ,学級の中で活動できるようになるまでには,本人の努力や教師多くの友達の支援が必要になる。この支援の在り方については事例を通して,次のようなことが明らかになった。

 1) よさを認める

 それぞれの児童生徒の努力していることを素直


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