研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -026/117page

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(2) 研究の4つの視点
 本研究のよりどころを,全国教育研究所連盟福島大会の確認事項(平成2年)「個を生かす4つの視点」に求め,これを手がかりに研究構想を樹立した。
 個を生かす4つの視点について,それぞれを満たす支援の在り方の事例を収集・開発し,「個を生かす学年・学級経営アイディア集(1日編)」としてまとめ,これに基づき各視点の有効性,よさを生かし伸長する支援の在り方等を研究協力校の実践を通して見ていくことにした。

 4つの視点
1 個の存在を認め,大切にする
2 個の特性をとらえ,生かす
3 認知的側面と情意的側面の調和ある活動にする
4 個性豊かな生き方のための基礎・基本を習得させる

 (3) 研究の成果
1 実態調査について
 県内小・中・高校の教師の「個の重視」に対する実態調査を実施した結果,次のようなことが明らかになった。
ア 個の存在を大切にすることは分かるが,具体的な方策が見いだせない。
イ 個の特性をとらえること及び生かすことは難しく,その手だてがよく分からない。
ウ 個を生かすために,認知的側面と情意的側面の調和がとれているとは言い難い。
エ 今後,個性豊かな生き方のための基礎・基本を身に付けさせることを重視したい。

 2) 4つの視点について
 4つの視点を基盤にした学年・学級経営を心がければ,「個を生かす」学年・学級経営が実践されるという見通しに立ち,各視点ごとにその内容・方法を具体化した。
 具体化にあたっては,「視点」→「それには」→「そのために」→「そこで」と順次その内容・方法が明確になるよう焦点化し,可能なかぎり実践レベルに近づけ「個を生かす学年・学級経営アイディア集」(巻末資料参照)としてまとめた。

 この中で,4つの視点に関して明らかになったことは次の3点である。
○ 「視点1:個の存在を認め,個の存在を大切にする」「視点2:個の特性をとらえ,生かす」のように視点の基本となる考え方に違いがあっても,具体化された「そこで」の段階になると,両視点に同一の手法がいくつか取り上げられた。これは他の視点間においても同様である。
 このことは,視点のそれぞれの入口は違っても実践レベルでは相互に関連し合っていることを意味している。すなわち,1つの視点を中心に支援活動を行っても,他の視点との関連を持った支援活動になるということである。
○ 4つの視点の関連は.各視点が並列にあるのではなく,その関連を示すと下図のようになる。

〔個を生かす学年・学級経営における4つの視点の関連図〕

個を生かす学年・学級経営における4つの視点の関連図

「個を生かす学年・学級経営」を実践する上で,根幹的位置にあるのは視点1・2である。
  この視点1・2の基底となっているのが,視点


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