研究紀要第91号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究 第1年次」 -031/117page

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T 研究の趣旨

1 はじめに

 今,評価に求められている課題はどのようなものであろうか。

 平成元年に告示された学習指導要領の総則には (1) 自ら学jミ意欲と社会の変化に主体的に対応  できる能力の育成
 (2) 基礎的・基本的内容の指導の徹底
 (3) 個性を生かす教育の充実 の3点が,今回の改訂のねらいとして示されている。

 また,児童(生徒)指導要録の様式も「関心・意欲・態度」の観点を最初に設定し,観点の配列をこれまでのものと逆にしている。このことは,児童生徒の関心・意欲から学習活動が展開され,思考力・判断力や表現力カ亨高まっていくとする児童生徒が学ぶプロセスを重視した学力観に立っていることを示している。

 このような新しい学習指導要領と児童(生徒)指導要録に基づく学力観に対応した評価の在り方が.その具体的な展開とともに求められていると考えられるのである。

 評価研究について振り返ると,昭和52年の学習指導要領告示後の昭和55年前後から全国的に評価研究が実施され,香川県教育センター(昭和55.56年),東京都千代田区立佐久間小学校(昭和56,57年)などに代表される優れた実践的研究を生んだ。当教育センターもまた,昭和59年から3年間にわたって評価研究に取り組み,各教科における実践的研究を発表してきた。

 本研究は,このような先行研究の内容と成果をふまえ,新しい学力観に対応する評価の在り方を具体的な授業実践によってさぐることを目標とするものである。

 2 研究主席設定の理由

 研究主題「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」は,新しい学力観に対応する学習指導を通して,児童生徒一人一人の個性を見いだし育てる評価の在り方を求めて設定したものである。

 これは.当教育センターが,昭和62年度から平成3年度にかけて,新しい学力観に立っ学習指導の在り方を求めて実践した「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究」の成果をふまえ,更に評価の具体的な在り方を問うものである。

 従って,「一人一人の個性を生かす」という場合の「個性」の意味付けについても,これまでの考え方を基礎として進めていきたい。つまり,教育的手法として児童一人一人の「個性」のなかの「よさ」を見いだし,生かし育てていくことをねらいとするものである。

 児童生徒には,その発達段階に応じた個性や個性の芽生えがあるものと考えられる。児童生徒は学習のプロセスの中で自らの課題を見いだすことで学ぶ意欲を喚起し,また主体的な学習を積み重ねていくことによって自らの「よさ」を自覚し,社会の変化に対応できる一人の人間としての生き方を確立していくものと考えられる。

 本研究では.当教育センターのこilまでの研究成果をふまえて,一人一人の「よさ」を生かすための「評価の在り方」について,具体的で実践的な研究を進めたいと考える。

3 研究計画

  

3年計画として進める。

1年次 1  先行研究分析
  2  評価に関するアンケート調査

(小・中・高等学校の教師を対象とする意識調査)

  3 試行仮説による小学校社会科における実践

(試行的検証授業)

2年次   実践研究
3年次    実践研究と研究のまとめ

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