研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -061/117page

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I主題設定の理由

 科学技術の急速な発展により物質的に豊かな社会となり,必要なものが容易に手に入ったり,遠くのできごとや想像上のことがらを映像などにより,あたかも目の前のことのように提供されるようになった。そのため,現代は従来よりも間接的な体験を含め多くの体験ができるようになった。

 このような社会的環境は児童生徒の生活にも影響を及ぼしている。現代の子供たちはさまざまな体験を通して成長してきており,表現すること,抽象化することや情報を集めること等の能力は優れている。しかし,ともするとそのような体験は受身的であったり,模倣的であったりして本来の意味の体験ではなく,したがって創造性も身につきにくいものである。

 そこで,学校教育では,児童生徒一人一人が主体性をもって体験できる環境を設け,個性や独創性を育むことが大切である。このような体験的な活動によって初めて「自ら考え」,「創意工夫を加え」,「さらに発展させる」といった創造的な能力・態度が育成できるものと考える。

 以上の理由から,体験的な活動を重視した学習を展開して創造性を高めるための教材開発を目的とし,標記の研究主題を設定した。

II 研究のねらい

 新学習指導要領の小学校理科(全区分)と中学校技術・家庭科(家庭生活領域)における新出,移行及び取り扱いが変更された指導内容について児童生徒の創造性を高めるため,体験的な活動を重視する教材を開発し,その普及を図る。

III 研 究 構 想

1 創造性のとらえ方

 本研究では,創造性を「社会の急激な変化に対応できる自己の形成を目指し,自ら新しい価値を生み出す能力」ととらえ,次のような能力・態度を育成することで創造性が高められると考えた。

○ 関心・意欲………知的好奇心,向上心

○ 感性…………問題点の認識,解決策への直感

○ 思考力…………柔軟性,論理性,想像力

○ 技能・…………再構成力,実践力,表現力

○ 態度……自発性,自主性,独自性,持続性

 研究を進めるに当たっては,指導内容に即し,体験的な活動を重視して上記の能力・態度のいくつかを高めることを意図した教材を開発する。

研究構想図


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