研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -071/117page

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B−2 豆電球を用いた電流による発熱量の測定

1 単元名 「電磁石と発熱」(第6学年)

2 ねらい

(1) 指導書では電熱線に電流を流すと発熱し,電流の強さによって発熱の仕方が違うことを実験し,エネルギーが変換されるという見方や考え方を育てるとともに,電流の働きを意欲的に追究する態度を育てることをねらいとしている。

 教科書では電熱線を用いて電流の大きさと発熱量の関係を紙やロウ,発泡スチロールを用いて定性的に調べている。しかし,電熱線を赤熱させないで使用するとき,電熱線は発熱しても視覚的に変化を見ることができない。また,各学校の電流計や電源装置の数が少ないことなどから学習の個別化が困難である。

 そのため,身近な素材である豆電球を用いた, 簡易で短時間でできる実験法を開発し,児童が工夫して自主的に実験できるようにした。このような体験的な活動を通して意欲,感性,技能を高め,創造性の育成を図った。

3 教材の概要

(1)特 徴

 1) 乾電池と豆電球,試験管,温度計を用い,少量の水で短時間で上昇温度を測定できる簡易な実験法である。

 その結果,再実験やまとめなどに十分時間を取ることができる。

 2) 豆電球を光源でなく熱源として使用する。その意外性から, 児童が興味・関心を持って取り組める。

 3) 電流の大きさを,電流計を使わなくとも電球の明るさで視覚的に比較できるなど, 児童でも容易に取り組める実験法である。

(2) 実験装置の概略図と説明…………下図参照

4 指導例と留意点

(1) 非常に身近な器具だけを使用しているので,教師は実験装置を見せて簡単に説明する程度にし,児童に自由に,自主的に取り組ませる。多少間違いがあっても,なるべく自ら解決させる。

(2)各学校に鉄製スタンドが少ないので,試験管は手で持たせる。ただし,下部を握ると体温で水の温度が上昇する。児童自身に気付かせるか巡回の時にそっと注意する。

(3)実験結果は測定値の平均と比較させ,大きく離れた値のときは自主的に再実験させるとよい。

 実験装置の概略図と実験法

(1) 実験装置の概略図

実験装置の概略図

(2) 準備するもの
 1) 1.5Vの乾電池
 2) 3.8V−0.5Aの豆電球
 3) 温度計
 4) 試験管
 5) ゴム栓

(3) 実験方法
 1) 二人1組で実験装置を組み立て,試験管を手で持って実験する。
 2) 水5立方センチメートルをメスシリンダーでとる。  (水の温度を室温に合わせるため前日に汲み取っておく)
 3) 試験管の水の温度を測定する。
 4) 5分間電流を流す。電流を切った後30秒後に温度計を読み,上昇温度を求める。
 5) 実験は乾電池1個のときと2個のときの2回行う。  (水は実験ごとに替え,常に新しい水で実験を行う)
 6) 各班で電池1個のときと2個のとさの上昇温度を比較して,電流の強さと発熱量の関係をつかませる。


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