研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -073/117page
4 使用例及び留意点
(1) 口径5cmの小屈折望遠鏡に8ミリビデオカメラを用いこのシステムで撮影した場合でも,気流条件のよいときは月では直径10km(月の直径の1/300)程度の小さなクレーターまで,太陽では黒点の詳細,白斑まで識別可能である。理振法基準の望遠鏡では授業で使用するのにさらに十分な映像が得られる。
(2)ビデオの場合,日周運動による天体の動きや地球上の気流による俊のゆらぎまで映り,写真にはない臨場感がある。また,数日間,連続録画したものでは,月が他の天体の光(太陽光)で輝いていることや太陽黒点の変化等もわかり,興味・関心が深まり,学習内容を深化.発展できる。
(3) 太陽の撮影では,ビデオカメラに太陽光を直接導入するとCCDが焼けて使用不能となるので前記のように減光用フィルターを必ず装着する。 図4 5cm屈折望遠鏡による凡 太陽像 (写真はビデオプリンターによる。ビデオ画面の像はさらに鮮明である。)
C−2 福島県内の火成岩及び火山灰層の分布とその教材化
1 単元名「大地のつくり」(第6学年)
2 ねらい
(1) 火山灰,火山噴火によってできた地層(火山灰層)及び火成岩が新内容として位置付けられ地域に分布するものを取り上げることとして扱われている。しかし福島県内の火成岩及び火山灰層の分布については,研究者の資料はあるが,小学校教材という視点でまとめられたものは少なく,この種の地域資料の整備を望む声はアンケート調査にも顕著に現われている。こうした状況にこたえるために資料作成に取り組んだ。
(2) 県内の火成岩と火山灰層の分布とそれらの需頑における観察の視点を示した。これらの資料をもとに教師が地域の自然の教材化を図り,児童に探究させることにより,関心・意欲を高め,創造牲の育成を図った。
3 教材の概要
(1) 特徴
福島県内の火成岩や火山灰層の分布の概観,それらの主な音頭の位置,そこでの観察の視点がわかり,地域の自然基数材化する上での資料となる。(2) 観察の視点について
火成岩や火山灰は,生成以前において高温高圧の流体(マグマ)であったことによる種々の特徴から,堆積岩や流水の働きによる地層と区別でき,それらが小学校における火成岩・火山灰観察の視点となる,具体的には次の1)〜5)を取り上げた。液体のマグマが団体の火成岩や火山灰になっていくとき,マグマ中の様々な成分は,それぞれ一定の組成を持った鉱物の結晶として晶出するものが多い。この結晶とは定まった平面によって囲まれており,角ばった粒として認識される。すなわち,こうした角ばった拉が含まれていれば,マグ マからの生成物と判断する手掛かりとなる。(多