研究紀要第92号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発 第1年次」 -074/117page

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 くのものは肉眼またはルーペで識別可能だが,火山灰中のものは,蒸発皿を用いて粘土分を洗い流し,双眼実体顕微鏡で観察するとよい。)

 2) ガス穴があるか
ガスによる多くの穴が見られる

 マグマには,揮発成分が多く溶けており,これが気体になるとその圧力で噴火が起こる。マグマからの生成物にはこうしたガスによる多くの穴が見られるものがあり,これが識別の手掛かりとなる。

 3) 流理構造がみられるか
冷却時のマグマの流動線が色や結晶度等の違いによる縞模様(流理構造)

 火成岩が以前,流動性をもつマグマであったことから,一部の火成岩には,冷却時のマグマの流動線が色や結晶度等の遠いによる縞模様(流理構造)として見られるものがあり,マグマからの生成物と判断する手掛かりとなる。

 4) 節理がみられるか
火成岩 規則正しい割れ目

 液体のマグマが固体の火成岩になる際の体積減少で生じる規則正しい割れ目(柱状節理,方状節理など)で,これが見られれば,火成岩と判断する手掛かりとなる。

 5) 溶結によるレンズが見られるか
軽石や岩さいがつぶれて偏平なレンズ状となったもの

 高温の火山灰や軽石が大量に堆積した際の熱と自重により,軽石や岩さいがつぶれて偏平なレンズ状となったもので,堆積物中にはその断面が見られる。大規模な火砕流堆積物によく見られ,その識別に利用できる。

 これらのうち,1),2)は学習指導要領に載っている視点であるが,岩石や火山灰層の特性からこれらがあてはまらなかったり,識別しにくい場合もあるので,3)〜5)の視点も参考として加えた。

 (3) 分布図について

 福島県内の火成岩と火山灰層について,20万分の1福島県地質図(著作;福島県)をもとに,それぞれの分布図を示す。

 この際,小学校では,火成岩は堆積岩との識別がポイントであり,細かい分類名ごとにおさえる必要はないが,種類によりできた時代,火山活動等のようすなどが違ってくることから,火成岩を流紋岩,石英安山岩,安山岩,玄武岩,深成岩類の5種類に分けて分布図を示した。

 (4)露頭のデータについて

 本資料では,分布図と併せて,それらの実際の露頭位置と観察の視点((2)で示したもの)のデータ表(現地踏査で確認したもの)を以下に示す。

流紋岩の分布域

No. 地    名 1/2.5万図上の位置 視  点
(1) (2) (3) (4) (5)

福島市飯坂町大作山

二本松市苗松山

本宮町岩根黒岩

本江町弁天山

喜多方市大仏山

中茂庭 195/72

玉井   384/290

磐梯熱海258/257

若松   112/107

熱塩   128/ 79

 

 

 

 

 

 

 

※ ○印は露頭における視点1)〜5)があてはまる  もの(以下同じ)

※ データ表中の「1/2.5万図上の位置」とは,国土地理院発行2万5千分の1地形図図幅の南西端から計った露頭の地形図上の位置を示す。


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