研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -092/117page
<主な内容>
6つの要点と12の基本的対応をふまえて,開発的な指導援助を展開する。今年度は,教育活動全体に研究実践の範囲を広げ,その中でも,教科指導を中心にしながら密接であり不可分ないくつかの要点相互の関連を図りながら総合的な指導援助を行っていく。
研究協力校では,指導援助の要点を下記のように定めて実践した。
校種 実践領域 指導援助の要点 関連して指導する要点 小学校 道徳 所属と愛情 安全・自己理解 小学校 国語 自己理解 所属と愛情 中学校 理科 自尊 所属と愛情・自己理解 高 校 数学 自尊 所属と愛情・将来への向上 中学校 特活 将来への向上 自己理解・自尊 実践にあたっては,観察・面接等の記録や6つの要点に関する意識調査から,児童生徒一人一人の状況をとらえ,研究協力校の学級の実態に応じて,実践する要点を一つに絞り,関連要点を含めて開発的な指導援助の授業構想を立てる。そして,その指導援助の一つ一つがどのように機能し,どのような効果を生むかを仮説に基づいた授業の実施とともに,その他の教育活動における開発的な指導援助によって検証する。
実施後は,教師の観察記録・実践記録や児童生徒の作文及び要点に関して事前事後の調査から学級の変容,個人の変容を分析し,仮説と実践の指導援助が適切であったかを考察する。
事前事後の意識調査等は以下のような内容・方法で実施した。
(1) 児童生徒の自己評価による意識調査
(2) 調査の目的
開発的な指導援助の6要点「健康」「安全」「所属と愛情」「自己理解」「自専」「将来への向上」について児童生徒の意識調査を実施することにより,開発的な指導援助の実践の結果,児童生徒一人一人において変容が見られたかどうかを確かめることを目的とする。2) 調査の方法
ア 調査項目及び採点の仕方
「6要点の調査用紙と活用の仕方」(平成3年度研究紀要P.106参照)に明記した調査方法による。イ 実施の時期
開発的な指導援助の実践の事前と事後に実施する。3) 調査対象児童生徒
研究協力校の児童生徒を対象とする。<調査対象児童生徒数>
校種 学年 男 女 計 小学校 4年 12 21 33 小学校 6年 15 16 31 中学校 2年 18 21 39 小学校 1年 15 25 40 中学校 2年 24 16 40 (2) 意識調査以外の調査
1) 調査の目的
数値で測定不可能な側面について,児童生徒の意識を知るために,多面的に資料を収集することを目的とする。2) 調査の方法
観察,面接,作文,日記,アンケート 班ノートなどから必要に応じて児童生徒の変容を探る。