研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -098/117page

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する過程に教師が適切な助言を与えれば,自信を持たせることができると考えた。
 そこで,次のように配慮した。

ア だれにでもあるよさを認め,ほめることによって自信をつける。そのことから意欲をわかせる。
イ すべての教育活動を適して,自分に関心を持たせ自分の考え方や感じ方などに気づかせるとともに,他者へも関心を持って理解しようとする態度を育てる。
ウ 児童を多面的に理解するために,授業以外でもチャンスをとらえて,話し合ったり一緒に遊んだりする活動を多くする。
 特に,女子の児童への接し方には配慮し,信頼感を深めるようにする。

(3)授業の実践

<国語>情景を想像して(物語)「やまなし」

1) 指導援助のねらい
ア 本時のねらい
 五月の場面を読み,場面や情景を想像しながら読むことができるようにする。
イ 本研究における指導援助のねらい
○ 個別学習の場を設定し,自分のカで考えるための方法を理解させる。
○ 能力差や友人関係を配慮したグループによる小集団学習の場を設定し,他人の考えを取り入れ,自分の考えをふくらませることができるようにする。
○ グループで話し合ったことを,更に全体で練り上げる場を設定し,いろいろな人の考えを取り入れて自分の考えを深めるようにする。

 その過程で児童自身に自分の特性に気づかせるとともに,その特性を教師や友人から認められるという体験を通して自信を持っことができるようにする。

2) 指導の仮説
 上記の指導援助のねらいを達成するために,本時の授業の中で次のようなことをすれば,自分への気づきと理解が図られ,自分自身についての考えを深める契機として有効であろう。
ア 個別学習の場では,語句や言葉に線を引いたり,書き出したりするなどの学習のステップや記号化したメモの取り方を理解させる。
イ 小集団学習の場では,自分の感想や考えをまとめたものをグループの中に出し,友達の考えとの相違に気づいたり,自分の考えを修正したりできるようにする。
ウ 全体での話し合いの場では,個別・グループ学習で観察した個々の児童の感想や意見を生かし,発問や指名の仕方を工夫する。
エ 自分の考えの間違いに気づいたり,友達の考えを聞いて更に良い方へ修正したりすることが,自分を理解し高めていくために大切であることを児童の実態に合わせて気づかせる。

3) 主な指導援助
ア 小集団活動で自分の考えや感想を深めさせる
 本時の後半部分に次のような学習活動を設定した。学習活動5の前段階に,「なぜそう感じたか」根拠になる部分の本文に線を引き,考えさせる個別学習の時間を設定した。ねらいや方法がつかめない児童のために個別学習のステップを細かくしたり,メモの取り方を具体的に指示したりするとともに,机間指導の時には学習の遅れがちな児童を援助して回った。

指導過程(一部抜粋)
図IV−7指導過程(一部抜粋)


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