研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -099/117page
その後,次のような「学習活動5」のグループの話し合いに入った。
(グループの話し合いに入ってからしばらくして教師は各班の様子を観察し,班長の援助やアドバイスに心がける。)
a男:M子さんは,どこが恐ろしい場面だと思いましたか。
M子:私は.最後の2行の「光のあみはゆらゆらのびたり」という文章が最初怖いと感じたんです。ところが,D子さんの考えを聞いているうちに,これは本当は「おだやかな場面だ」ということがわかったんです。
a男:どうしてですか。
M子:言葉だけでそう感じてしまったんです。前後の意味を考えずに・・・・・・。 「ゆらゆら」という言葉だけでなんとなく怖いと思いました。ほんとうはここは,日光が水底を静かに照らしている様子をいっているのだとわかりました。それにしても,作者が,「光のあみ」といっている「あみ」とは何なのかわかりません。
(教師はここで口を挟むべきではないと感じたが,M子が自分の考えをを深めていることに励ましと賞賛を与えずにはいられなくなり)
T:M子さん いいところに気づきましたね。 そのこと後でみんなに発表してね。
(M子は,ほめられて一瞬,顔を紅潮させたが,その後の発言は途絶えてしまった。自己理解を促すには,教師の待つ姿勢も必要であり,安易な発言は慎まなければという思いが胸に残った。)
イ 学級集団の中で自分の考えをさらに練り上げさせる
個別学習で自分の考えをまとめ,グループの中で話し合いをした後,学習活動6では,学級全体で深め,練り上げる時間を設定した。
ここでは,個別学習や小乗用学習での教師の観察を十分生かしながら学級全体が高まるよう教師の発問や児童の指名に特に留意した。
次に,「学習活動6」の話し合いの一部分を実践記録の中から紹介する。
(学習活動6に入ってからしばらくして)
T:M子さん。先のグループの話し合いで,自分の考えの変化に気づきましたね。はじめの考えが.どう変わったかお話して・・・(神経質なM子がどう出るか不安であったが先に発表を約束していたので指名する。なるべく自然な状態を保つよう声を明るくして,支持と受容の表情で発表を待つ。)
M子:何度も文章を読み返すと,自分が気づかなかったいろんな場面を見つけました。たとえば,「にわかに天じょうに白いあわが立って青い光のまるでぎらぎらする鉄砲玉のようなものがいきなり飛び込んできました。」というところは,G子さんの話を聞いているうちに別な事がわかりました。
T :ほう,何がわかったの。
M子:・・・・・
T :G子さん,M子さんがわかったと言ったこと覚えていますか。
G子:M子さんが言いたいのは,兄さん かに が言った「青いものの先がコンパスのように黒くとがっている」ものの正体は,私が「かわせ