研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -100/117page
み」じゃないのと言った事だと思います。
T :ほほう,それでM子さんは何を発見したの。
M子:それは教科書9ページ4行目のお父さんかにの言葉とぴったり結びつくことがわかったんです。
(今までにないM子の眼の輝きに教師は笑顔で応えながら)
T :なるはど,なるはど,それは本当にすごい発見ですね。よく読み取りました。自分なりの考えがそんなふうに深まることはすばらしいことですね。
真剣な話し合いT : i男君も何か言いたいようですね。
i男:ぼくもM子さんが分からないと言った<光のあみ>のことで考えたことを発表します。
T :それはぜひ聞きたい。どんなこと。i男君は,お話を聞きながらメモをとっていましたね。それにグループの話し合いではi男君は楽しそうに話していましたね。
i男:光のあみとは,f男君が「それは9ページ3行目の<波から来る光のあみ>のことではないかな」と言ったことです。<あみ>は,魚をとる網のようなものだと思いますが,薄くて光がゆらゆらしている様子にたとえています。これは,ひとつの出来事が終わって,また元の静かなファンタジーの世界に戻った 様子を表しているんだなあと思います。
T :そうすると,i男君の考えは,f夫君が言ったことがヒントになっているんですね。f夫君が見つけた<波のあみ>の発見もすばらしい。」
(授業はこのように友達の発言が,自分の考えの基になり,話し合いが展開していった。)4) 授業実践こついての考察p>
ア 自分の考えを明確にさせる
学習の初めに個別学習の場を置き, 一人一人に線を引かせたり,書き出させたりしたことは, 自分なりの考えを持たせ, 後の学習で練り上げられていくことを理解させるのに効果的であった。イ 自分と友達の考えの違いに気づかせる
友達の考えの良さに気づくことは,自分の考えを練り上げるきっかけになる。勇気をもって自分の考えを出せるように小人数グループにしたことはよかった。特に,消極的な児童もグループの一員としての自覚をもって話し合うことができたことは,グループの考えを全員でつくり上げるという意欲につながっていった。ウ 全体で話し合い自分の考えを深める
グループでまとめたものを,OHPを使っての発表で全員に知らせた。ここでは,代表の発表を聞いて質問や意見を出し合い,練り上げていく。意見を出せない児童も,心の中ではうなずいたり,自分の意見と比べたりして聞いている表情が見られ,それぞれの役割を果たせた充足感が感じられた。
個による学習5) 他の教育活動における実践
担任が, 児童に対して自分のことに関心をもち理解を深めていくことができるように,木曜日の放課後に位置づけ全員を対象に教育相談を実施し