研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -101/117page
てきた。一人一人を呼んで趣味等について話し合ったり,困っていることを聴いてあげたりして自分の考え方や感じ方に気づかせるようにした。また,チャンス相談も並行して随時行い,問題と思われる児童にはいつでもどこでも声をかけ,「先生は自分のことを見ていてくれる。」という安心感を持たせるとともに,学級の一員として,それぞれの役割を果たすことの大切さをわからせることに努めた。
(4)実践の考察
1) 学級の変容について
このような指導をしてきた結果,自己理解だけでなく他の要点も高まったことから,児童が安心して過ごせる場(学級・グループ等)をつくることがいかに大切であるかを感じさせられた。
学級の雰囲気が明るく活発になり,教師に対しても自然に話しかけてきたり,遊びに誘ったりするようになった。特に,女子が明るくなり積極性もでてきた。 調査結果から見ると,自己理解が伸びているだけでなく,他の面(「所属と愛情」「自尊」「将来への向上」)もよくなってきている。
また,自己理解の質問肢1では,「はい」と答えた者が19名であり.質問肢2では,13名と事前調査よりよくなっている。
図IV−9 「自己理解」の変容2) 個人の変容(c男・f夫・M子の例) c男は自分の考えを押し通すところがあり,口論になることがあった。教育相談を継続した結果友達に譲ることもできるようになった。
図IV−10 c男の6要点の変容f男は,たいへんバランスよく伸びている。授業では班長を務め,励まされながら責任を果たすことができた。
図IV−10 f夫の6要点の変容M子は6要点とも伸びている。「所属と愛情」と「将来への向上」の伸び率が高い。]子に励まされ自信がつき,授業においてもグループ内で認められるようになった。
図IV−12 M子の6要点の変容
『クラスと私の成長』 M子の作文より 私たちのクラスは,たいへん明るくなりました。雰囲気も良くなって笑い声も増えまし