研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -102/117page
た。私は,今まで自分のことを自分で決められなくて人に選んでもらったり決めてもらったりしていました。でも,E子さんと友達になっていろいろ学びました。悪いときは悪い,うれしいときは心から喜んでくれるので安心できます。私は,E子さんのおかげで成長したような気がします。 ・・・・・・略・・・・・・ 3) 教師自身の変容について
これまでより,児童一人一人のよさが目に入るようになり,ほめる,認める,励ますなど教育相談的なことばかけが多くなった。また,学習時間だけでなく,児童会活動や清掃時でも,児童の自主性を信頼し自己決定を与えられるようになった。このことから,児童も教師に親しみを持つようになった。
自己理解を深めるための指導援助をする中で,児童が共に認め合ったり,励まし合ったりしながら成長していることを確認するのを見て,自己理解の大切さに気づかされた。
全体での発表・話し合い3 「自尊」を高めることに中心を置いた指導援助の実践
(1) 学級の実態について
中学校2年男子23名 女子16名 計39名今年度当初のクラス替え以来,学級の雰囲気が比較的明るく,他の学級に比べても活動的であるのは,活気ある女子の存在によるところが大きかった。最近では,男女ともに協力し合う場面も学校生活の中に見え始めてきた。
しかし,生徒一人一人に目を向けると,自分の考えを抵抗なく授業の中で出し合い,みんなで高め合うという状態にはまだなっていない。また,受動的な取り組みのタイプも多く見られ,その中には存在感の薄い生徒もおり,自信がないため取り組みにも消極的である。このようなことから,もっと自由に意見を出し,級友のどんな意見も受け入れ相手を大切にしようとする雰囲気をつくっていくことが必要と思われる。
事前調査の結果では,自尊感情は他の要点より下回っており,特に次の質問肢では否定的な答を選んでいる生徒が多くみられた。
○ 友だちが自分のことをどんなふうにうわさしているか気になる。(質問肢5)
○ そんなに好きでない人でも,その人のいいところをみつけようとしている。(質問肢6)(2) 実践の視点
上記の学級の実態を考えた時,自信を持たせ自尊感情高めることが必要と考えられる。 そこで12の基本的対応の中から「自尊」に関する
[7] 適切な認めによって自己専垂の気持ちを高め,肯定的な自己像を確立させる。
[8] 自らの価値観に基づいて,自分を信じ主体的に行動できるようにする。
[9] 自分自身を大切にすると同時に他者をも尊重する心を育てる。を実践の視点として取り上げることにした。また,自尊の感情を高めるために極めて重要な「所属と愛情」「自己理解」に関しての指導援助も大切に