研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -108/117page

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指導過程(一部抜粋)
図IV−18 指導過程(一部抜粋)

T :(成績下位のA子には)A子さん,いいねえ。最初の第一段階まではできてるよ。

A子:(うれしそうに)いいんですか。でも,次はよくわかりません。

T :(にっこり微笑んで)そうか。でも,例題の手順を参考に,やれるところまでやってみようよ。

A子:う〜ん。この式で,もとの式を,割算すればいいんですか?

T :うん。そうそう,やってごらん。

A子:(首をかしげながら)こうでいいですか?

T :うん。考え方はそれでいいんだよ。ただ,計算にミスがあるかもしれないから,D男君の解答と比べてごらん。D男君。A子さんを助けてあげてね。(D男は成績上位)

T :(成績中位のE男に)E男君も解答までできているみたいだね。ずいぶん早くできたね。すごいね。でもD男君の解答と違うみたいだよ。二人で,手順にそって検討してごらん。

E男:え,そうですか。じゃ俺が間違えたかな。(と言って,あわてて自分の答を消そうとするE男に対して)

T :おいおい。いつもD男君が正しいとは限らないぞ。手順にそって,一つ一つ確認してごらん。

 このようにして,小集団内での相互学習の雰囲気づくりをした。単に答の結果だけを比較せず「なぜこうした答がでてきたのか」その考えを述ベ合って検討させるようにした。

 特に,演習に対する前向きな姿勢を認めることで自尊感情を高めるよう意識的にかかわった。

 また成績上位の生徒のための学習課題を示し,能力にあった問題に取り組ませるようにした。自分の課題が終わると何をしていいかわからないでいる一部の生徒には,十分な働きかけを与え,更に学力を伸ばせるよう配慮した。

ウ 取り組みを励ます
 苦労して正解までたどり着いた生徒に対しては特に賞賛し,板書してもらうことで,クラス全体から承認が得られるようにした。また,単に正解を写すだけにならないよう,途中まででもできた点を評価するようにした。

 誤答に対しては,批判的にならないように注意し,途中経過や考え方を前向きに評価し,誤りの原因を一緒に考えていくようにした。

4) 授業実践についての考案

ア クラス全体の人間関係の改善を図る
 教師と生徒の会話を重視し,一方的に説明することのないよう,生徒と一緒に考える授業を心掛けたことと,小集団学習を行ったことにより,生徒同士のコミュニケーションも深まり,楽しく授業展開が図れるようになった。

イ 学習意欲を高める
 わかりやすい授業の実践を心掛け,生徒の前向きな姿勢を認め励ます働きかけを多くした結果,学習意欲が向上した。問題解決の手順をスモール


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