研究紀要第93号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第3年次」 -111/117page
実践の方法としては,「私の希望」という題で作文を書かせ,個々の生徒の将来への志向性の状況を把握する。次に,将来へ向けての自分としての努力点,改善点を「学級活動」の授業の実践の中から気づかせ,「将来への向上」に向けての意識を高める。
その他,個別教育相談や教育活動の様々な場面で,「自己理解」「自尊」の指導援助と関連を持たせながら,「将来への向上」の意欲を高めていく。
(3) 授業の実践
<学級活動> 将来への希望
1) 指導援助のねらい
ア 本時のねらい
職業についての関心を高め,自分に適した進路を追求しようとする態度を養う。イ 本研究における指導援助のねらい
○自己理解をもとに,自分への誇りと自信を高め,将来への見通しを持たせる。○自分自身にとっての将来への目的意識を持たせ,希望する職業について考えさせる。
2) 指導の仮説
上記のねらいを達成するために,次のような指導援助をしていけば,将来への志向性を持って生活しようとする意欲が高まるであろう。
ア 作文「私の希望」の発表や全員の希望する職業アンケート集計表の提示により,級友の希望も知りながら,職業に対する関心を持たせる。
イ 職業の適性,資格などを理解した上で,希望の実現に向かって,性格,行動面での努力点,改善点について気づかせる。更に,級友の発表から気づいた点を学習プリントに書き加え,努力し改善しようとする意欲を高める。
ウ 自分の性格,行動面の特徴から,努力点,改善点に気づくことができないでいる生徒に対しては,良いところを認め,励ましながら個別に助言し,気づかせる。
3) 主な指導援助
ア 雰囲気を和らげ,前時の考えを振り返る
進路の話となると,どうしても重苦しい雰囲気
図IV−22 指導過程(一部抜粋)になりがちなので,気分をほぐし,考えを発表しやすくするために短時間で「じゃんけん遊び」を行った。その後,前時に学習した自分の希望する職業に必要な適性・資格などについて各自の学習プリントで振り返り,本時のねらいを確認した。
イ 職業についての関心を高める
各自の希望する職業に対する関心を高めるために,作文「私の希望」を2名に発表させた。
○ F子「家業の魚屋を継ぎたい」
○ 指名されたF子が,発表を終えると生徒たちは,F子が魚屋を継ぐことに感動したのか,大きな拍手をした。生徒に感想を聞くと父親が自営業を営んでいるC男が,「僕は,長男で家を継がなくてはなりませんが,コンピュータ関係の仕事に就きたいと思っています。F子さんはお兄さんがいるのに,後を継ぎたいなんてすごいと思います。」と意見を述べた。
○ N男「ツアーコンダクター(旅行案内者)に