平成5年度 研究紀要 Vol.23 -000-01/162page
ま え が き
学習指導要領の改訂に伴う新しい教育観に立つ教育や、自らの生き方を考え主体的に進路の選択ができるような進路指導等、一人一人の児童生徒の個性を生かす学校教育の在り方について、論議が盛んに行われており、誠によろこぱしいことと考えます。これも、学校教育に対する社会全体の期待が高いことの現れであり、教職を担う者として職務の重要性を改めて認識するところであります。
本教育センターにおいては、新学習指導要領の趣旨の実現をめざしながら、今日的な学校教育推進上の諸問題を広い視野から取り上げ、本県教育の充実と発展に資するため、各部がそれぞれに次のような主題を設けて研究してまいりました。
学習指導部は、関心・意欲・態度や思考力、判断力、表現力を重視する新しい学力観に基づき、児童生徒の個性(よさ)を生かす学習指導と評価の在り方を追究すべく「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」という主題を設定し、研究に取り組みました。本年度は、第2年次として、中学校外国語科(英語)において、英語におけるコミュニケーション能力の育成とコミュニケーションヘの関心・意欲・態度の伸長を図る指導の工夫と評価の在り方について研究してまいりました。
科学技術教育部の「児童生徒の創意性を高めるための教材開発」は、児童生徒の創意的な能力や態度を育成するため、体験的な活動を重視した教材の開発を目的としたものです。最終年次の本年度は、小学校理科と中学校技術・家庭科での新出内容等に関する教材開発を継続するとともに、授業での試行をし、その効果を評価し改善を図ってまいりました。
教育相談部では、早急に対策が迫られている「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」という主題を設定し、学校不適応の問題の背景にあるさまざまな要因の本質を調査・分析によってとらえ、適切な援助の在り方について実証的に研究してまいりました。第1年次の今年度はアンケート調査を実施し、学校不適応状態にある生徒の実態及び生徒の学校不適応意識や価値観等を明らかにして、学校不適応に向ける援助の方向性を追究いたしました。
今年度から、本紀要の内容の充実・拡充を図るとともに、広く教育活動の中でご活用いただくことを願い、7名の所員の個人研究を掲載いたしました。内容は、学習指導法の工夫・改善や体験的な活動を重視した教材開発からコンピュータを活用した授業の改善等まで、多岐にわたっております。研究を進めるに当たっては、研究協力校の実践を通すなど、実証的な研究であることに心がけてまいりました。
本紀要は、3部のブロジェクト研究及び所員の個人研究7件の内容をまとめたものであります。いずれも理論的基盤をもとに実践的に研究したものであり、各学校での教育活動に役立つものと考えております。
最後に、本研究推進に際し、ご尽力賜りました研究協カ校、研究協力員の皆様、並びに関係諸機関の皆様に心から感謝申し上げます。
平成6年3月
福島県教育センタ_所長 永 山 三 郎