研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -001/162page
I 研究の趣旨
1はじめに平成元年に告示された学習指導要領は、小学校中学校での実施を経て、平成6年度からは高等学校でも実施される。この間、新しい学力観に立つ学習指導の工夫と評価の在り方が問われ続けてきた。
新しい学力観は、児童(生徒)指導要録に示された評価の観点に端的に表されている。即ち、従来の「関心・態度」を「関心・意欲・態度」に、「技能」を「技能・表現(又は技能)」に改め、さらに学習のプロセスに添って評価の観点を並べかえたことなどである。
また、いわゆる教えこみ型の授業から、児童生徒の立場に立って主体的な学習態度の育成への転換や、体験学習、課題解決的な学習を取り入れた授業の在り方などが要請されてきた。
しかし、これらの学習指導の工夫は、評価の在り方と併せて改善していくことによって、より具体化され、児童生徒の「よさ」の発見と把握が可能になるものと考えられる。
当教育センター学習指導部では、昨年度から研究テーマを「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」と設定し、新しい学力観に立つ学習指導と評価の在り方について取り組み、研究第1年次に当たる昨年度は、「評価に関する意識調査」と小学校社会科での「検証授業」を行った。今年度は、第2年次として、中学校外国語科(英語)において、「英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するための関心・意欲・態度の評価の在り方の研究」を実施した。コミュニケーション能力の育成とコミュニケーションヘの関心・意欲・態度の伸長を図る指導の工夫と評価の在り方について明らかにしようと考えた。
2 研究主題設定の理由研究主題「一人一人の個性を生かす評価の在り 方に関する研究」は、新しい学力観に対応する学習指導を通して、児童生徒一人一人の個性を見いだし育てる評価の在り方を求めて設定したものである。
これは、当教育センターが、昭和62年度から平成3年度にかけて、新しい学力観に立つ学習指導の在り方を求めて実践した「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究」の成果をふまえ、さらに評価の具体的な在り方を問うものである。
したがって、「一人一人の個性を生かす」という場合の「個性」の意味づけについても、これまでの考え方を基礎として進めていきたい。つまり、教育的手法として児童生徒一人一人の「個性」の中の「よさ」を見いだし、生かし育てていくことをねらいとするものである。
児童生徒には、その発達段階に応じた個性や個性の芽生えがあるものと考えられる。児童生徒は学習のプロセスの中で、自らの課題を見いだしながら学ぶ意欲を高め、また主体的な学習を積み重ねていくことによって自らの「よさ」を目覚し、社会の変化に対応できる一人の人間としての生き方の基礎を養うことができるものと考えられる。
本研究では、当教育センターのこれまでの研究成果をふまえて、一人一人の「よさ」を生かすための「評価の在り方」について、具体的で実践的な研究を進めたいと考える。
3 研究計画3年計画として進める。
1年次 1先行研究分析
2評価に関するアンケート調査(小・中・高等学校の教師を対象とする意識調査)
3試行仮説による小学校社会科における実践(試行的検証授業)2年次(本年度)中学校外国語科(英語)における実践M
3年次実践研究と研究のまとめ