研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -018/162page
7 三つの評価方法の結果と分析今回の研究では、教師からの評価、自己評価、相互評価を組み合わせて、生徒の関心・意欲・態度を適切に評価する方法について実践を行った。それぞれの評価方法の結果と分析については、以下のとおりである。
(1)自己評価
生徒の自己実現を図るためには、生徒自身が自己理解を深めることが重要であり、自己理解に直接的にかかわる自己評価は、評価方法の中で大きな役割を担うものである。昨年度、当教育センターで全県下の小中高の教師に対して実施した「評価に関するアンケート調査」の中の「今後重視したいと考えている評価方法」についての質問に対して、「自己評価」との回答が最も多かった。また自己評価の長所短所として下記の項目があげられた。
長所 ・自分を知ることができる
・やる気を伸ばせる
・自信や励みになる
・自覚が高まる短所 ・過大評価、過小評価の危険性が高い
・主観的になりがちである
・客観性がない
また、昨年度の小学校社会科における検証でも、自己評価を中心とした「ふりかえりカード」によって学習を振り返らせ、課題や興味・関心を明確に自覚させることにより、次の学習の関心・意欲が喚起され、それにともなって思考力・判断力や表現力も高まっていることが確認できた。
今回は、小学校とは発達段階が異なる中学生を対象にした場合に、自己評価はどのように機能するのか探りながら実践を行った。実際に行ったのは下記の方法である。
○日常のテキストを使用した授業での、会話練習時の自己評価
○特別なコミュニケーション活動での自己評価
実際に評価するに当たっては、記述式の評価をさせて心の動きを探ることが最も効果的であり、教師も生徒の心の動きをつかみやすいことは間違いない。しかし、選択式よりも時間が大分多くかかるため、授業の流れを大きく妨げることも考えられる。そこで今回は基本的には選択式で行い、研究内容を考察する上で必要なときのみ、記述式で記入させた。
1.会話練習時の自己評価
授業の導入時の会話練習は、既習の学習事項を用いて、インタビュー形式で行った。具体的なカードや選択肢は「6授業の実際」で述べているとおりである。下記がその評価結果である。
なお、選択肢についてはできるだけ英語に触れさせたいという考えから、全て英語にしてある。最初の段階で意味をきちんと説明してあるため、選択肢の意味が分からないという混乱はない。
(A-Very Active, B-Active, C-Little active, D-Passive)
基本会話はモデル文が異なり、難易度に差があるので、数値のみから単純に判断できるものではないが、考察のための資料とした。
1回目の段階ではA,B,Cを選択した生徒の数はほぼ同数であり、2回目はAが増え、3回目にはその数はまた元に戻っている。各会話の中心となる文は下記である。
1回目一I wentto〜to do〜.
2回目 一I watched TV 1ast night. P1ease te11 me about it.
3回目一What doyou want to be?