研究紀要第94号 「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」 -019/162page

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 この三つを比較すると、やはり生徒の日常生活に最も密接に関係し答えやすいものは、2回目の会話であろう。それで、Aを選択した生徒が多かったと考えられる。3回目は、確かにAを選択した生徒は減っているが、A,Bを選択した生徒の数は1回目と比べて大きく増えている。このことは会話練習に慣れてきて、ある程度会話しようとするようになったが、自分に対する要求水準も高くなり、「自分はもっとがんぱれるのではないか」という意識の表れとも感じられる。

 2 特別なコミュニケーション活動での自已評価

 検証授業では、4タイプのコミュニケーション活動を行ったが、それぞれの自己評価の結果が下記のグラフである。活動1回目〜4回目のグラフからは、全体的にAかBを選択した生徒の数に大きな変容は見られないが、A選択の数は3,4回目でやや減っている。2回目から3回目にかけての数値の減少は、準備に努力した割には発表が満足できるものでなかったことを表しており、生徒がよりよいものを発表したいと考えていることが分かる。

活動1回目 フィールドワークブラン作成の自己評価
活動2回目 映画吹き替えのための準備の自己評価
活動3回目 映画吹き替え発表の自己評価
活動4回目 テキスト内容聞き取り活動での自己評価

特別なコミュニケーション活動での自已評価

下記のグラフは、異文化理解活動の3時間の中での自己評価の様子である。

異文化理解活動の3時間の中での自己評価の様子

第1時一アイルランドの中等教育についての内容理解の自己評価
第2時ー 中学校生活の紹介の準備の自己評価
第3時ー 中学校生活の紹介の発表の自己評価

 今回の3回の活動には、生徒が特に熱しに取り組み、特別に設定したコミュニケーション活動の中でも最も生徒の関心・意欲を感じた活動であった。第1時では、C,Dを選択した生徒はなく、内容把握のためにそれぞれの生徒が努力したことが分かる。一方、Aを選んだ生徒が少なかったのは、内容をどの程度理解できたかということとかかわっており、「がんぼったが、完全には理解できなかった」という意識が、関心・意欲の評価にも表れたと思われる。このことから、生徒にとって観点に従って、表現や理解の能カと関心・意欲・態度を区別して評価することは、教師がそれをすることよりも大変難しいのではないかと考えられる。

 次に、生徒が自分の活動を自分で評価することをどのように感じているかを考察する。次のグラフは5月に実施した事前調査、7月に実施した中間調査、11月に実施した事後調査の結果である。

 事前と中間を比較すると「きちんとできる」「きちんとできた」が2倍以上の数値になり「甘くなる」「甘くなった」「厳しくなる」「厳しくなった」が半減している。自己評価を真剣に行った結果と考えられる。一方、中間と事後を比較すると「きちんとできた」が減少し、「自分に甘くなった」が増えている。事後の調査で自己評価の


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