研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -037/162page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

III 開発教材の紹介

1 小学校理科

(1)授業で試行した教材

「重さを体感できる胎児モデル」

1 単元名「動物と人のたんじょう」(第5学年)

2 教材のねらい

 この単元では、生命が連続しているという見方や考え方を養うとともに、男女の体のつくりや人の発生と成長の過程を意欲的に追究し、生命を尊重する態度を育てることがねらいである。

 この単元の学習には直接経験することが難しい内容が多く、ビデオ映像や写真などの資料を活用して授業を行うことになる。そのため、そこから得られる情報は、児童が実感としてとらえにくい。

 そこで児童の体験的な学習活動の一つとして、胎児モデルにより疑似体験ができるようにした。それにより、関心・意欲を高め、意欲的に人の体の不思議を追究させたり、問題点の認識や問題解決の直感力を養ったりすることを意図した。

3 教材の概要

 母体内の胎児の様子を立体的に観察したり、胎児の重さや大きさを児童自身が体験的にとらえることができるように、大きさ、重さ等実物に近いモデルを作製した。

 粘土で作った胎児からシリコンゴムで雌型をとり、石膏を流し込むことによって石膏の胎児モデルを作製した。このシリコンゴムの雌型を使えぱ石青胎児モデルを短時間に複製できる。しかし、1個体のみ作製する場合は、市販の紙粘土や工芸用粘土で直接作製するとよい。

 作製した石膏モデル(または紙粘土モデル)に和紙を4〜5重に糊付けし、水彩で着色、ウレタンニスで2度防水加工を施した。


写真1 シリコンゴムの雌型写真
写真1 シリコンゴムの雌型写真

写真 2完成した胎児モデル
写真 2完成した胎児モデル


 実際の授業では、写真3のように胎児モデルをビニール袋(羊膜)で覆い、水道水(羊水)で満たしたものを子宮を表現した段ポール箱におさめた。さらに胎盤(臍の緒)を取り付け、母体の胎内の様子をリアルに再現したもの(以下母体モデルと記述)を提示した。

写真3母体モデル
写真3母体モデル


4 授業での試行

 母体内の胎児の様子や生まれたぱかりの胎児の大きさや童さをモデルを使って疑似体験させることをねらったものである。

〈単元の指導計画〉        総時数10時間

1.動物の雄と雌が持つ特徴を話し合う。
2.人と男女の外形的な特徴をまとめる。
3.人の男女の体の内部のつくりをまとめる。
4.動物を卵生と胎生に類別する。
5.生まれたぱかりの人の特徴を調べる。
6.生まれる直前の胎児の様子や状態を調べる。(事例1)
7.羊水や胎盤の役割を調べ、まとめる。
8.母体内で胎児が成長する過程をまとめる。
9.受精の仕組みを調べ、まとめる。
10.単元をまとめ、親の愛情に気付く。(事例2)

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。