研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -041/162page

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 製作に当たっては、児童が自主的に取り組み、自力で目標が達成できるように、簡単な説明図を与えた。児童の発達段階を考え、材料の切断など難しい作業は教師が事前に行った。写真は製作の途中で、つり合いをとるために、児童が軽い方の段ボールのすき間にストローを切って詰めているところである。

製作

 早く完成させた児童は自分の作ったてんびんを使って、クリップよりも1円玉の方が重いことを確かめ、はじめの課題を解決することができた。次の時間には全員がてんびんを完成させ、それぞれ自分のてんびんでいろいろな物の重さを比べたり、重さをはかったりした。

5 児童の反応

 製作の後、児童に自己評価や感想を含めたいくつかの質問をした。次の3点については5段階で評価させた。

A てんびんづくりはおもしろかったか。
B 自分から進んでてんびんが作れたか。
C てんびんはうまくできたか。

結果は図2のグラフのようになった。

 いちばん難しかったこととしては、ほぼ全員がつり合わせることをあげた。つり合わせるための方法としては、中心の位置をずらす、おもりをつける、逆に重い方のてんびん棒の端を少し切るなど、様々な工夫がみられた。また、ある児童からは、物をのせる部分をもう少し大きくし、落ちないようにガードレールみたいなものをつけたほうがよいという改善点があげられた。

図2 児童の自己評価
図2 児童の自己評価


6 教材の評価

 児童の自己評価や抽出児童の観察等から、この教材は「ものの重さとてんびん」の学習への関心を高め、意欲的に取り組ませるのに効果があると思われる。また、完成までの手順や技能についても習得させることができる。さらに、この教材には、つり合いをとるためにはどうすれぱよいかなど、思考する場面や、そのためにどんなことをすれぱよいかなど、工夫する余地もたくさんあり、思考力や、創意工夫する態度を養う上でも効果的な教材であることが分かった。てんびんにのせた物が落ちやすいという児童の指摘に対しては、カップめんの容器を利用して小皿を作って取り付けることにした。また、竹ぐしがストローから抜け落ちないように、竹ぐしの両端に発泡スチロールの小球を突き刺した。写真は改良後のてんびんである。

改良後のてんびん

7 使用上の留意点

 てんびんを作るだけでなく、完成したらそれを使って、できるだけその時間内に重さ比べをさせたほうが効果的であり、成就感を与えることができる。そのためには、事前の準備と、作業が遅れがちな児童への適切な援助が必要となる。


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