研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -044/162page
5 児童の反応
教材(地層モデル)が提示された時、歓声が上がり、明らかに興味を示した。教師が「みんなもこんなモデル作れるかな。」と聞いた時には自信のなさそうな表情の児童も何人かいたが、全体的には意欲を見せていた。
製作活動も全員が積極的に行い、どのグループも協力しながら、最後まで取り組んでおり、関心・意欲が持続していたようだ。
この教材は問題解決学習をねらいの一つとしているため、教師側であえて作製手順を詳しく説明しなかった。したがって下書きの有無など、はりつけ方法もグループごとに工夫しながら行っていた。粒をまき散らすグループ、逆に手の平で押しつけるグループもあった。大きな粒は1個ずつボンドをつけてはりつけていた。
授業後に、全員にアンケート調査を行い、教材効果などについて確かめた。
項目 人 数
5 4 3 2 1
(+)←ーーーーーーーー→(-)
とても ふつう ぜんぜん1 今日の勉強はおもしろかったですか。 9 17 2 0 0 2 自分から進んで作業ができましたか。 12 8 8 0 0 3 標本はうまくできましたか。 8 12 8 0 0
さらに、自分達の作製した地層モデルを見ての感想や疑問点をあげさせたところ、次のような意見が出た。
・同じような丸い粒が層を作っている。
・土を少し削った方がよく分かる。
・水分を多く含んでいる土は色が濃い。
・地層は遠くで見た方がよく分かったが、モデルは近くの方がよく分かった。
・まわりはどうなっているのだろう。
・中まで地層はあるのだろうか。
・どうして同じ土同じ石が集まっているのだろう。
・地層はどのようにしてできるのだろう。
6 教材の評価
アンケート結果からも分かるように、児童は意欲的に、問題意識を持ちながら取り組んでいた。
ふだん何気なく見ている地層も、モデル作製を通して、地層の重なり方やその特徴、単層ごとの構成物を手に取り観察し、モデルとして再現することにより、よりきめ細かな観察ができ、深く追究していこうとする意欲が出てきた。
現地での地層観察では発見できなかったことや、新たな疑問点もモデル作製を通してあげられた。
7 作製上の留意点
地層標本の作製に関しては、単元の指導計画の中で効果的な位置付けが重要であり、地層観察後、現地で実物を見ながら作製するのが望ましい。
また単にモデル作製で終わることなく、本来のねらいである、体験的な活動を通した地層に関する特徴や順序関係、量、構成物の特徴などを考察させることが大切である。
作製においては、ある程度正確さを要求することも必要であるが、現地の観察によって分かったことを分析し、表現する手段としてこの教材を活用したい。そういった意味では、特徴を強調したモデルを作るのも一つの方法であろう。
またこぼれ落ちることは十分予想できるが、スプレーのりで固定したり、菓子箱などの箱型の台紙を使うなどの工夫があれぱかなり解消できる。
現地での地層観察が不可能な地区については、教師が前もって単層ごとの構成物を採集しておき、モデルとして提示したり、現場のスケッチや写真を参考にしたりして、児童にモデルを作らせてもよい。