研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -046/162page
「めもり付きスライドガラス」 1 単元名「魚の育ち方」(第5学年)
2 教材のねらい
ここでの学習内容に、顕微鏡などを使って水中の小さな生物の存在を確認させ、魚がそれらの小さな生物を食べて生きていることをとらえさせることや水中の生物の捕食者と非捕食者の関係に気付かせることなどがある。しかし、微小生物は大きさがとらえにくく感覚的に比較しにくい。児童の中には、教科書の写真からゾウリムシとミドリムシが同じ大きさだと錯覚しているものもいる。倍率の概念が十分に育っていないからである。
そこで、簡単に自作できるめもり付きスライドガラスを開発した。この教材は、微小生物をのせて検鏡するだけでその大きさが測れ、比較することができる。児童は、関心をもって意欲的に微小生物の観察に取り組み、魚との大きさの差や微小生物どうしの関係などを考えさせることで柔軟な想像力や論理的な思考力が高めることができる。
3 教材の概要
(1)特徴
市販のめもり付きスライドガラスはたいへん高価であるため、児童一人一人に与え観察させることは容易ではない。本教材は、塩ビ板をスライドガラスの大きさに切って使うので安価であり、昆虫針を使って、簡単に幅や長さがそろった格子(めもり)を描ける。そのため児童一人一人が使用でき、簡単に対象の大きさを測ることができる。
(2)製作法
1.格子を刻む針の製作
ビニールテーブの上に3号の昆虫針を12本程度すき間なく並べる。このすき間が約0.5oになる。針が動かないようにビニールテーブで固定する。
2.塩ビ板に格子を刻む。
1.の針で下図のように格子を刻む。この時、方眼用紙の上で行うと直交する格子を正確に刻むことができる。
3.市販のパンチ穴補修用ラベルをはる。
4 指導例と留意点
(1)このようにして作ったスライドガラスのホールの直径は約6mなので、観察する対象が探し易くなる。さらにラベルの厚みがホールの役目を果たし、大きめの対象でもつぶれることなく観察できる。児童に自由に観察させ、大体の大きさを記録させる。
(2)微小生物の観察には、メチルセルロースの2%溶液やアラビヤ糊などを入れると、動きを止めることができるので観察しやすい。