研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -047/162page
「土の中の小動物を調べる装置」 1 単元名「人とかんきょう」(第6学年)
2 教材のねらい
この教材は、児童が身近な材料を用いて自作することができて、土の中の小動物を簡単に抽出できる装置である。この装置は、様々な環境の土の中からそこに生息している小動物を取り出し、環境条件と小動物の種類や量との関係を考察させ、土の中の小動物と環境とのかかわりを類推できるようにしたものである。
製作活動を通して学習への関心・意欲を高め、さらに、実験の手順や方法を考えさせることで、問題点の認識や問題解決のための直感力を養うものである。
3 教材の概要
(1)特徴
ペットボトル、フィルムケースなど身近な材科を利用して手軽に短時間に製作できる。そのうえ、抽出も簡単で、児童が実験の手順や方法を考案できる。図1は装置の模式図であり、写真1は装置を使用して土の中の小動物を抽出している様子である。
(2)製作法
1. 材料
・ペットボトル (底皿付きのもの、1l用) ・フィルムケース ・防虫剤 ・網 (2oのステンレス ・植木鉢用等網) ・接着剤 (エポキシ系)・ビニールテープ2.作り方
ア 底皿付きのペットボトルの底皿を熱したカッターナイフでボトル本体から切り離す。
イ ポトルの口の内径よりやや大きめの円形に切った網を口と反対の内側から入れ、接着剤で胴体と口の境目の部分に固定する。(3)使用方法
1.調べようとする場所の土を移植べらなどで採取してビニール袋に入れて持ち帰り、ペットボトルの中に入れる。
2.土の上に防虫剤を置き、ペットボトルの皿の部分で蓋をして、ボトルと蓋の境目の周囲にビニールテープを巻いて封じる。
3.ペットポトルの口の真下に水を入れたフィルムケースを置くと、1〜2日後には土の中の小動物が水に落ちてきて水面上で動き回る様子が肉眼で観察できる。
土をペットポトルに入れると細かい粒子が落下してくるので、水を入れたフィルムケースは土が落下しなくなってから口の真下に置くとよい。また、防虫剤の量が少ないと小動物が落下してくるまでの時間が長くなる。
4 指導例と留意点
校庭、花壇、草原、田や畑、森や林などいろいろな環境の土で実験すると、出てくる小動物の種類や量が異なるので、児童が興味・関心をもって取り組むものと思われる。
さらに発展的な指導としては、環境教育的視点から環境の異なる場所の土とそこから抽出した小動物の種類や量との関係を考察させ、環境保全の重要性を認識させることもできる。
抽出した小動物の特徴を詳しく調べるための方法としてルーぺや解剖実体顕微鏡等の機器を利用すると効果的である。
土の中には年間を通じて小動物が生息しているので時期に制約されずいつでも観察できる。