研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -061/162page

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(2)その他の教材

「食品模型」

1 題材名「食事づくり」(第1学年)

2 教材のねらい

 食事づくりの仕事の中の献立作成及び材料の購入には、使用する食品の分量や概量の計算がある。それらの量は、教科書や資料、献立カード等を参考に把握させているが、実感としてとらえにくい。

 そこで、直接手で実測できる食品模型を製作し、その活用を通して食品概量への理解を深めさせれば、分量把握の大切さに気付くとともに、関心をもって意欲的に食事づくりの計画に取り組むことができるものと考えた。

 ここでは、概量把握に体験的な活動を組み込むことで関心・意欲を高めることをねらいとした。

3 教材の概要

 この食品模型は、実際に目で見、手に持って重さや大きさの関係が体感できる実物大模型である。大きさ、重さともに実物と合致していることと、身近な材料で安価に作れることが特徴である。

<材料と留意点>

ここで使用した材料は、次のとおりである。

合成粘土4袋(3009入り)、心材(針金、新聞紙、麻ひも、石、発砲スチロール、網など)アクリル絵具、水性ニス

合成粘土は、紙粘土よりもきめが細かく、乾燥によるひび割れも少ないので食品模型づくりには適している。ただし、原料が主にパルプと水からできているので乾燥すると減量する。製作に当たっては、このことに留意して重さを算出する。

また、大きさと重さを一致させるために心材を用いるが、その割合が難しい。このマニュアルができれば容易に作れる。参考に今回使用した合成粘土としんの割合を右表に示す。

<作り方>

【きゅうり1本(100g)を作る場合】

<きゅうり>

1.粘土を適量とり、乾燥させた状態の減量率を算出する。(今回使用した粘土は100gが乾燥後65gとなったので、減量率35%で製作した。)

2.粘土を100g(乾燥後の重量65g)と心材(針金・新聞紙・麻ひも)を35g用意する。

3.しんを作る。針金とぬらした新聞紙にきつく麻ひもを巻き付け、大まかな形を作る。

4.その上に粘土をはり付け、成形して大きさを一致させる。

5.そのまま1週間程度目然乾燥させ、乾いたら表面を彩色し、水性ニスを塗って仕上げる。

食品模型24食品(重量表示付き)
食品模型24食品(重量表示付き)


4 指導例と留意点

粘土としんの割合 (単位 g)
食品模型 概量 粘土 しん
食パンの厚切り 1枚 60 86 4
じゃがいも・卵・みかん 1個 50 50 18
バター 10 16 0
チーズ 20 33 0
鮭切り身・豚ロース・1切れ 80 80 28
さんま 1尾 100 80 48
豆腐 1/4丁 87 80 35
ウィンナ 1本 15 17 4
ハム 1枚 20 32 1
トマト 1個 80 60 41
なす 1個 50 50 18
かぼちゃ1切れ・ピーマン1個 20 22 6
人参 1本 80 80 28
さやいんげん 1本 8 7 4
玉ねぎ 1個 200 100 135
ねぎ 1/2本 50 60 11
キャベツ 1枚 50 69 5
りんご 1個 200 120 122
バナナ 1個 100 90 42

 食品模型は、食品群の分類や食品の摂取量のめやすの把握など食物学習全般に広く活用できる。ロウ製の市販教材もあるが、高価なため1と中学校にはあまり普及していない。

 調理室に常時展示して、生徒の興味・関心を喚起できるような環境づくりに留意したい。


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