研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -066/162page
つ問題性をとらえる内容である。
(工)解決のための要求を知る
ある場面や理由を設定し、「どのくらい学校に行きたくないと思うか」といった質問を提示して不適応の場面や理由を明らかにし、その対応のための援助の手掛かりを得ようとする内容である。さらに、そのようなときにだれに援助を求め、どのように自己解決を図ろうとするのか、児童生徒の要求しているところを知って、援助の適切な在り方を考えていくためのものである。
(オ)価値観を知る
児童生徒が生活上の価値を何に見いだしているかを明らかにする内容である。「成績・能力」「理想的自己像」「対人交流」「社会的規範」「校内活動」「他者からの承認」の6つの価値項目を挙げ、それぞれに4つの質問をしている。児童生徒の持つ価値観を理解し、適切な試案をつくり出していくために必要な調査内容である。
(カ)対応の実際を知る
児童生徒の意識と教師の押さえている実態との関係を読み取る。また、教師の対応の実際を知り援助の在り方をこの調査に求める。
(4)調査対象
<調査対象校>
県内中学校(248校)の中から、学校規模・地域等を考慮して、20校を選び、当該中学校において抽出した学級の生徒を対象とする。
<対象校を中学校にした理由>
中学校の時期は発達段階から見て、児童期から思春期への過度期にあり、さまざまな問題が発生する時期と考えられる。現実、不登校に代表される学校不適応の生徒は年々増え続け、特に中学校においては、他の校種と比べてもその数の多さが目立つ。このように問題が大きく表面化する中学校を調査対象として生徒個々に抱えている問題を探っていけば、学校不適応を解決する多くの手掛かりをつかむことができるものと考える。
<調査対象者>
調査対象者は、対象校の学年ごと1学級の生徒及び対象学級の担任とする。
<各事務所ごとの校数> 中学校 (20校) 県北 大規模校 2
中規模校 1
小規模校会津 中規模校 2
小規模校 1県中 大規模校 1
中規模校 2
小規模校 1南会津 小規模校 2 相双 中規模校 2 県南 大規模校 1
中規模校 1いわき 大規模校 1
中規模校 1
小規模校 1
<アンケート回収数・回収率>
・男子生徒 1,065
・女子生徒 1,007 計2,072 (96.4%)
・教師60 (100%)(5)処理の手順
<配点及び群分けの基準>
(ア)の項目については、(多い・時々・いいえ)の3段階で答えを求め、「多い」は2点、「時々」は1点、「いいえ」は0点といった配点のもとに点数化した。
まず、中規模校の中から無作為に抽出した1校の(ア)の調査項目(3-1〜3-9)を採点処理した結果、不適応の状態がほとんどみられないO点〜1点の生徒が総数の約1/3の割合であった。
比較分析していく関係上、適応度合によってほぼ同じ割合の3つの群に分けることにした。点数分けにすると、2点〜3点で約1/3の生徒数、4点以上で約1/3の生徒数となった。
「多い」「時々」の度合が高い程不適応状態を示す割合が大きい、また、その度合が低い程不適応状態を示す割合が小さいと判断して、4点以上をA群、2点〜3点をB群、0点〜1点をC群とした。
<処理の方法>
調査対象の全生徒を配点の基準によりA・B・Cの3群に分ける。(イ)以下の調査項目の処理は、すべてA・B・C群ごとに調査結果をまとめ、考察をする。