研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -072/162page

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2-5「学校では一人の方が気が楽だと思うことがありますか」

学校では一人の方が気が楽だと思うことがありますか

 学校では一人の方が気が楽だと思う傾向は、どの学年においてもA群が強い。

 特に、A群の「多い」だけを学年間で比較すると、3年が1・2年より約10%多い。3年生の中でも、不適応状態を示す割合が大きい生徒は、他者との接触を求めることよりも、一人でいる方を求める傾向が強いことがわかる。

2-7「先生から注意されることがありますか」

先生から注意されることがありますか

 B,C群では、先生から注意されることが「多い」と回答した割合が、学年が上がるにつれて減っている。しかし、A群は、学年が上がっていっても、それほど「多い」の差異は見られない。

 また、2年生のA群は、「多い」と回答した割合が、1・3年生に比べて少しではあるが高い。/p>

 すなわち、学年にかかわらず、常に教師から注意されることが多いA群の姿がある。

3.まとめ

 前述の1,2の考察から、学校不適応意識に関して、B,C群には、「授業」そのものにおいての否定的な見方は少ない。しかし、A群の約20%は、授業に魅力を感じてはいない。そして、学校を休みたいと思っている。なぜであろうか。

 2-1〜2-10の各質問内容に対して、A群がB,C群に比べて不適応意識を強く示している。その中でも、A群で特にその割合が多い質問肢は、
・2-4「友達の目やうわさが気になりますか」
・2-7「先生から注意されることがありますか」
・2-8「先生や友達から嫌われていると思うことがありますか」
・2-2「学校のことを考えると気持ちが沈むことがありますか」である。

 A群の生徒たちは、自分が他者からどのようにおもわれているかを大変気にしている。また、それとともに、学校生活では、実際に教師から注意されることが多いため、学校嫌いの傾向を示し、学校を休みたいという意識が働くのではないかと考えられる。

 さらに、
・2-5「学校では、一人の方が気が楽だと思うことがありますか」
・2-1O「学校がいやで休みたいと思うことがありますか」
・2-6「友達がいなくてさびしいと思うことがありますか」
の質問内容に対する不適応意識も強い。つまり、 学校では1人でいるほうが気がらくだと思いながらも交友関係が薄いため、自分は、先生や友達から嫌われていると思いこむとともに、さびしさを感じながら内心では友達をほしがっているという複雑な心境がうかがえる。

 すなわち、学校不適応状態を示す割合が大きい生徒達は、個人の世界を持ちながらも、その世界の中から周りを気にしており、学校では、もっと友達や教師と楽しく過ごしたいという思いを訴えているように思える。


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