研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -073/162page
(3)自己イメージ・集団イメージに関して
1.自己イメージの考察
1-1「自分に自信が持てるものがありますか」
自分自身の何らかの特長的なところに気づいており、自信を持てるものがあると答えた生徒は全体の35%である。C群の「はい」と答えた生徒は、A群・B群よりやや多い。「はい」「少し」と答えた生徒を合わせると、各群とも金体の80%前後になるが、これもまた、A群、B群、C群の差はあまりない。しかし、A群よりはB群・B群よりはC群とその割合が若干大きくなっていることがわかる。
自分に少しでも自信がを持てるものがある答えた者が、全体の80%いるということは好ましいことである。しかし、グラフに表れたように、逆に生徒全体の1/5が、自分の特長に気づかず中学生活を送っている。
1-2「自分の顔や体型で好きなところはありますか」
自分の身体的な面で好きなところがある生徒は、各群ともに全体の13%前後であり、その割合は小さい。
「はい」「少し」を合わせた回答では、C群が48.6%と多く、A・B群は40%程度である。
中学生ともなると、自分に目を向ける中で顔や体型などの外面を気にするようになり、その結果現在身体的な面に満足を感じない生徒が多いと思われる。身体的自己像を低く評価して回答していることは、自己を他者との比較の中でみている表れとしてとらえることができる。
1-3「自分の性格で変えたいと思うところはありますか」
自分の性格を変えたいと望んでいる生徒は各群ともに90%近い高い割合となって表れている。これは、中学校という時期が、自己を客観視するようになり、他者との比較の中で自分自身を見ることになるためと思われる。特に不適応状態を示す割合が大きいA群の生徒の66.9%は、強く自分の性格を変えたいと望んでいる。
A群の生徒は自分のよさに気づくよりも自分の欠点や短所を感じる傾向が強く、自分自身を厳しく見つめ否定的に評価していると考えられる。
1-4「思ったように行動できないことがあると感じますか」
「はい」と回答した生徒の割合を比較するとC群、B群、A群の順で思うように行動できないと感じたことがある生徒が多くなっている。
誰しも思うように行動できないと感じることはあるであろうが、A群では、実に全体の60.4%の生徒が自分が思うように行動できないことを強く感じている。B群は48.8%、C群は39.3%とやはり高い数値を示し、生徒の多くは、いらだちや不適応感を持って生活を送っていることが考えられる。
また、「少し」を合わせた回答では、各群ともに90%前後となり、多くの生徒が生活のなかで成就感や満足感を十分に味わえていないことがわかる。