研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -080/162page
(5)生徒が持っている価値観に関して
ここでは、6つの心理社会的価値を設定した。以下の表のように、価値尺度別にそれぞれ4つの質間肢(全部で24の質問肢)からなっている。
その回答に対し、右のような集計を行い、求められた価値尺度別の全体の平均を基準にして、その平均との差をグラフの縦軸として、表示した。
[集計方法]
質問肢の回答についてそれぞれ、「とても」は2点、「少し」は1点、「大切でない」は0点として点数化した。それぞれの価値尺度別に8点満点で、その得点を集計した。その全体の平均と標準偏差については次の表のとおりである。
尺度 <成績・能力> <理想的自己像> <対人交流> <社会的規範> <校内活動> <他者からの承認> 質問項目 1.将来社会で成功すること
2.よい高校や大学に入ること
3.よい成績を取ること
4.学校の勉強に遅れないこと1.人から信頼される人間になること
2.思いやりや愛情のある人間になること
3.自分の考えで自信を持って行動できるようになること
4.困難に打ち勝つ強い気持ちを持つこと1.学校でいろいろな人たちと知り合うこと
2.家族と相談や話し台いができること
3.いろいろなことを分かち合える友だちを持つこと
4.思いやりを持って他人とつき合うこと1.社会や学校の「きまり」を守ること
2.他人に迷惑をかけないこと
3.家族に心配をかけないこと
4.自分勝手な行動をとらないこと1.部活動に参加すること
2.文化祭、体育祭、その他の学校行事に取り組むこと
3.学校内で責任ある役をすること
4.授業に参加すること1.友達に自分をわかってもらうこと
2.家族に認められること
3.仲間はずれにされないこと
4.先生に認められること平均 5.68 6.98 6.52 6.53 5.78 5.61 標準偏差 1.78 1.36 1.44 1.43 1.58 1.41
6つの価値尺度の質問項目と平均・標準偏差
1.A群・B群・C群の比較
ア 6つの価値尺度すべてにおいて、A群は全体の平均を下回っている。逆に、C群はすべての価値尺度で全体の平均を上回っている。このことから、 学校生活に適応している状態にあるC群の生徒は、学校生活のさまざまな側面に価値を見いだしている といえる。
イ A群とC群との差が特に大きいものは、 「校内活動」と「対人交流」 である。このことから学校での諸活動に意欲的に取り組むことや、人間関係を積極的に求めることに価値を見いだしている生徒ほど、学校生活に適応している状態にあることがわかる。
このうち、「校内活動」に価値を見いだしているということは、現に目的意識を持って取り組ん